内容説明
別名『氷の聖女』。子爵令嬢にして英国公爵令嬢・修野まり。頭脳明晰だが、感情面に難あり。『冷血柏木』柏木照穂。気の強さは天下無双。無類の文学狂い美少女・峰葉実香。降りかかる厄災と大人たちの思惑、はりめぐらされた罠に、3人が立ち向かう!脱出不能の華館に蔓延する致死ウイルス。しのびよる殺人鬼に刻々と近づくタイムリミット―絶対絶命の状況に、3人の高校生が挑む。
著者等紹介
古野まほろ[フルノマホロ]
東京大学法学部卒。リヨン第三大学法学部第三段階「Droit et Politique de la S´ecurit´e」専攻修士課程修了。フランス内務省より免状「Dipl^ome de Commissaire」受領。2007年、故・宇山日出臣史が発掘した最後の新人として、有栖川有栖氏の絶賛を受けた『天帝のはしたなき果実』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
293
ついに辿り着いた最新作にして番外編。まほろ不在により作品雰囲気が若干変容しており、前二作から続くテロを扱う側面もより色濃くなっている。フーダニットは前作ほど無理なく纏まっているが、そもそも提示される謎がかなりコンパクトで場面設定の壮絶さに喰われ気味。しかし、番外編と公言した上で読ませるのであまり不満も残らない。あと何作続くのかは不明だが、そろそろ主人公まほろの長い外遊を切り上げて一作目のように学校舞台の青春ミステリ色が強いものも読みたい。このままだと、文字通り地球圏外までいってしまって戻って来なさそう。2017/06/24
藤月はな(灯れ松明の火)
45
血液からの強烈な感染+空気感染のエボラ型ウィルスの発生で隔離されたホテルでの何者かによる悪質な感染者を増やす所業と罹患者の他殺。主人公にまほちゃんを据えていないためか衒学も過剰ルビも控えめ。そしてまほちゃんの五月蠅い自己憐憫の戯言とリビドー節もないのでストレスは大分、軽減されています^^しかし、やっぱり、英語部分はカタカナよりもアルファベット表記の方が意味が分かりやすく、双方の勉強にもなると思います。そして「御矢」や「墓姫」といい、このシリーズは職業意識のある素敵な従業員さん達が死に過ぎです!国府さんTT2013/06/10
ひめありす@灯れ松明の火
38
此処は約束の地。東京スティションホテル。千夜一夜ならぬ一世一夜の城。寝物語に咲いた青い薔薇。あなたと私の秘密。あの日の代償の様に赤い飛沫が花咲く。あなたはこんなクローズドな状況で、何時自分が、仲間が、殺人者になるのか。殺されるのか。そんな状況で探偵をしてきたの?誰にも負けなかったの?私の物語にはルビも衒学も、豊かな胸部も不要。胸ではなく全部頭に廻った栄養素。底力を見せてあげる。薄紫の封書にだって書き切れない赤い血を流した私達の戦い。いつかきっと語ってあげるから。私は生き残る。だからあなたも、生きて帰って。2015/03/22
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
23
まほろが出てこない天帝シリーズ六作目。時系列的にはまほが満州に逃げている間。1.5巻。主役は、まり、柏木、実香。まほがいないことで当て字やルビ、謎の引用は少なく普通の小説の様。主役三人は名門東京鉄道ホテルに宿泊する。其処には作家や、陸軍大将、米国国務長官、銀行頭取など名だたる人々も宿泊してい。そこへ起こるバイオテロ。エボラ出血熱。封鎖されるホテル。そしてホテルの中ではウィルスが蔓延し、罹患し、ある者は死に、ある者は自死し、ある者は謎の殺人者によって殺される。完全なるクローズドサークルで、三人が事件に挑む。2016/02/27
シタン
21
「古野まほろ」の登場しない健全な作品……のはずが。相も変わらずド変態である(最上級の褒め言葉)。ルビこそ少ないがそれを補うかのように衒学が詰め込まれる。90年代日本帝国という歴史改変設定が、チートじみた著者の経歴を駆使して圧倒的説得力で描かれる。前作の感想でも書いたが初期の頃から作風に変化が見られ、本格推理のボリュームを抑えて警察をはじめとする組織を描く社会派小説の濃度を強めている。とはいえやはり本格へのこだわりは偏執狂的。この著者特有の、知識(特に言語)を偏重する精緻な推理はぜひ一度は体験してほしい。2019/12/23