内容説明
最後に残った一人が莫大な金額を受け取る仕組みのトンチン年金組合の生き残りは、ついにマスターマンとジョゼフの兄弟二人きりとなった。折りもおり、ボーンマスへ転地に出かけたジョゼフは、帰途、鉄道事故に遭遇してしまう。事故現場で老人の死体を発見した甥たちは、年金目当てに一計を案じ、死体を大樽に隠してロンドンに送り込み、伯父がまだ生きているように見せかけようとするが…。偶然のいたずらによって姿を消した死体が行く先々で引き起こす珍騒動と、死体探しに奔走する男たちの右往左往を、絶妙のユーモアをまじえてえがく、『宝島』の文豪が遺したブラック・ファースの傑作。
著者等紹介
オズボーン,ロイド[Osbourne,Lloyd]
スティーヴンスンの後妻ファニーが先夫との間にもうけた息子。アメリカ、サンフランシスコに生まれる。名作『宝島』は、義父スティーヴンスンが少年時代ロイドに語った物語がもとになっている。スティーヴンスンとの合作に、『箱ちがい』(1889)、『難破船略奪者』(1892)、『引き潮』(1894)がある
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感想・レビュー
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本木英朗
17
19世紀英国の作家、ロバート・ルイス・スティーヴンスンが、甥であるロイド・オズボーンと一緒に作ったブラック・ファースの傑作が、この作品である。俺は2000年に一度読んだっきりで、今回が2回目である。莫大な金額がかかったトンチン年金組合の生き残りは、フィンズベリー兄弟だけとなった。その折もおり、弟ジョゼフが鉄道事故に遭遇、死体を発見した甥たちは伯父が生きているように見せかけようとするが……という話から始まる。これはもう、見てのお楽しみかな。とにかく最後まで見るしかないってば。→2020/04/02
きりぱい
7
スティーヴンスンとは思えないユーモア小説。まず、最後に残った一人が莫大な金額を受け取るという年金システムからして山っ気が強くて面白いのだけど、死体を配送するなんてドタバタにもブラック。男たちが立ち回るなか、調子っぱずれのジュリアが微笑ましい。この異色作を愛するか認めないかで、スティーヴンスンファンは2派に分かれるなんて言う人もいるようで。ちなみに擁護派はG・グリーンやチェスタトン、キプリング。継子との共著ということで、親子の親密さや、並行執筆のせいでお騒がせとなった出版エピソードも面白い。2012/03/24
yooou
0
☆☆☆★★2005/01/01