感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
62
ブレンターノ・アルニム共同編纂の歌謡集『少年の魔法の角笛』の抄訳と両者の小説を収録。ブレンターノの『カスペルとアンナル』、アルニムの『世襲相続人たち』が印象に残ります。どちらも、近代国家の要請する価値観や「利潤だけを追求する」社会など近代・合理主義批判の側面もありますが、その中で老婆の語りや青年の幻想が幾重にも重なり「より高い世界が出現」する様はドイツロマン派の面目躍如といった観があり、そのポエジーに陶然となりました。ドッペルゲンガーと語りが増殖し「喜びと悪ふざけの気分」に満ちた『ハンガリー綺譚』も好き。2024/03/26