内容説明
伊達邦彦が入手した「常温核融合物質・アルファ」が世界規模の闘争を巻き起こす!―アルファ鑑定のため筑波大学を訪れた邦彦に、イスラエルの秘密組織・モサドが襲いかかったのだ。危うく難は逃れたが、モサドの殺人マシン・栗城大和が、執拗に邦彦をつけ狙う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蒲公英之種
2
全集の最終巻。「野獣死すべし」と比べると車や銃器の説明が減り文章も荒々しくなくなったように思うが、伊達の冷酷に邪魔になる物を排除し自分の進む道を切り開いていく姿だけは変わらないし、どんなに大金を手に入れても野望は達成せず孤独な状態から抜け出せないハッピーエンドのない物語が作者の伊達に対する強い意志なのだと感じた。引き付けられるのに近寄れず共感すらさせない、それが伊達邦彦の魅力なのだと思う。2021/09/09
のりのりのり
2
真偽はともかく晩年の大藪春彦ゴーストライター説がでるのもうなずけてしまうほど文体の違いを感じる。あの人も年を取ったら丸くなったと言うように、そのまま作品自体も、そして伊達邦彦もまるくなったというのか。あの強烈な個性はどこにいってしまったのか。初期から中期にかけての大藪に求めていたものをこの作品に求めて読んだならば、肩透かしを喰らうことになるかも。その他大勢のアクション小説冒険小説として大藪を知らない人間が読むならば普通に楽しめる作品かもしれない。2015/11/16
ニミッツクラス
2
文庫版伊達邦彦全集の9作目、で完。初出95年で翌年に大藪氏死去。前作の感想でも触れたが、大藪氏の文体とはとても思えない。ネジ込むような荒々しさがなく、妙に丁寧。主人公は40歳を越えており、内容も斜陽気味ではある。氏の著作の特徴の「擬音語を使わない」の手法が破られ、バキッとかドーンなどの表現が随所にある。銃器についてもほとんど解説無しで拍子抜け。常温核融合物質を巡る攻防が題材。文庫版には、著者が学生時代に書いて95年に発見された油絵が載っている(初公開)。解説は北方氏。★★★☆☆☆2011/07/27
はげ太郎
1
さらばDK。 最後までスーパーだった。2015/08/07
ヱビス
1
伊達邦彦は結局何も手に入れることができないのだなと虚しく思った2013/05/03