内容説明
現在、われわれが知りうる歴史というのは、史料から復元されたものであり、かつ史料からしか復元されえないものです。現代に生きるわれわれは、織田信長の肉声を聞くことも、関ケ原の戦いを目撃することもできません。すべては、残された史料をもとに、歴史家たちによって紡ぎ出された「歴史」なのです。ですから、固定された正しい歴史などというものはどこにも存在しません。歴史とは、新しい史料と新しい解釈によって、この一秒の間にも書き替えられ、更新されていくべきものなのです。―本書では、「一級史料」を題材に、歴史家がどのように史料を読み、歴史を描き出していくのか探っていきます。そのうえで、教科書や歴史書の記述を鵜呑みにしない、自分なりの「歴史感覚」の身につけ方を学んでいきます。
目次
第1章 有名時代劇のもと史料(宮本武蔵の一次史料はたったこれだけ;一次史料が豊富な「忠臣蔵」)
第2章 歴史家は何をどう読む?(東京大学史料編纂所;史料集の編纂とは何をするのか? ほか)
第3章 新しい史料を発掘する(歴史学の基礎を築く「史料採訪」;わたしの「史料採訪」 ほか)
第4章 一級史料の宝庫「島津家文書」を読む(島津家の文書とともに死ぬのなら本望;一次史料だけで「歴史」が書ける ほか)
第5章 「歴史学」への招待(いろいろな一級史料に出会う;データベースから史料を探す ほか)
著者等紹介
山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年岡山県生まれ。東京大学文学部卒業。’82年、同大学院修了。文学博士。東京大学史料編纂所教授。『江戸お留守居役の日記』(講談社学術文庫)で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。日本近世史を専門とし、史料を丹念に掘り起こした著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NORI
於莵丸@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
akiakki
浅香山三郎
maito/まいと