光文社新書<br> 日本史の一級史料

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光文社新書
日本史の一級史料

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  • サイズ 新書判/ページ数 218p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334033538
  • NDC分類 210.088
  • Cコード C0221

内容説明

現在、われわれが知りうる歴史というのは、史料から復元されたものであり、かつ史料からしか復元されえないものです。現代に生きるわれわれは、織田信長の肉声を聞くことも、関ケ原の戦いを目撃することもできません。すべては、残された史料をもとに、歴史家たちによって紡ぎ出された「歴史」なのです。ですから、固定された正しい歴史などというものはどこにも存在しません。歴史とは、新しい史料と新しい解釈によって、この一秒の間にも書き替えられ、更新されていくべきものなのです。―本書では、「一級史料」を題材に、歴史家がどのように史料を読み、歴史を描き出していくのか探っていきます。そのうえで、教科書や歴史書の記述を鵜呑みにしない、自分なりの「歴史感覚」の身につけ方を学んでいきます。

目次

第1章 有名時代劇のもと史料(宮本武蔵の一次史料はたったこれだけ;一次史料が豊富な「忠臣蔵」)
第2章 歴史家は何をどう読む?(東京大学史料編纂所;史料集の編纂とは何をするのか? ほか)
第3章 新しい史料を発掘する(歴史学の基礎を築く「史料採訪」;わたしの「史料採訪」 ほか)
第4章 一級史料の宝庫「島津家文書」を読む(島津家の文書とともに死ぬのなら本望;一次史料だけで「歴史」が書ける ほか)
第5章 「歴史学」への招待(いろいろな一級史料に出会う;データベースから史料を探す ほか)

著者等紹介

山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年岡山県生まれ。東京大学文学部卒業。’82年、同大学院修了。文学博士。東京大学史料編纂所教授。『江戸お留守居役の日記』(講談社学術文庫)で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。日本近世史を専門とし、史料を丹念に掘り起こした著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NORI

12
残された史料をもとに歴史家が紡ぎ出すモノが「歴史」となる、一次史料と二次史料を付き合わせて峻別する難しさを感じる。最も史料が少ないのが宮本武蔵であり、最も多いのが忠臣蔵であるのは驚いた。2022/08/27

於莵丸@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)

9
歴史学の入門書。史料の新発見や保存・解読・編纂・出版など、歴史学者の仕事内容が伺えるものでした。「歴史は詰め込み暗記もの」といった認識ですが、実際は現存史料を収集し、そこから事象を割り出す…探偵の推理や警察の捜査のよう。藤沢周平の作品を例にした時代劇の基礎知識や史跡散策の楽しみ方など、一般的に親しみやすいトピックもあり、歴史モノ好きから歴史好きに少し掘り下げるにはいいのではないでしょうか?しかし端々に著書の紹介が…ちょっと……(笑)興味深い本達ですけれども。2011/01/01

akiakki

7
歴史家の史料へのアクセス、史料の解読から歴史の紡ぎだし方を解説しています。徳川家斉のナマの声が文書化された島津家文書の一つ「徳川家斉御意書」は、将軍直々のお言葉ながら中身は単なる暑中見舞い。この奇妙な文書ができた過程から当時の政治力学を分析するエピソードがまさに歴史を紡ぎだしています。宮本武蔵の一次資料がロクにないのは知らなかった。2023/02/02

浅香山三郎

7
山本博文さんは多くの著書があるが、単著を読むのは初めてだつたりする。史料を発掘したり、収集したり、意味付けたりする歴史家の仕事と、東京大学史料編纂所のあゆみを解説。近世史が中心だが、編纂事業(史料を発掘・発見することで歴史の新しい見方を提示)からみた史学史の紹介にもなつてゐる。さすが、多作の方だけあつて、①ですます体であること、②接続詞を極力少なくするかわり頻繁(?)に改行することにより話しを運んでゐること、など読みやすい文章を書かれる技術的なことも、よくわかる。2016/07/01

maito/まいと

7
我々歴史好きが、(間接的に)お世話になっている歴史の資料。その解読法や史料への接し方など、まさしく歴史学を身近に感じさせてくれる一冊。歴史の資料がどのようにして調査され、解読され、発表されていくのかが非常にわかりやすく書かれており、堅いイメージがある歴史学者の仕事内容が楽しそうに感じられる(実際は相当地味で根気のいる作業なんでしょうけど・・・)貴重な内容。まるで探偵モノのような史料分析の仕方や、歴史の基礎知識解説、実際の史跡の楽しみ方など、より一層歴史が好きになること請け合い♪2011/12/13

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