内容説明
「八百万の神」と言い表されるように、日本には多様な神が祀られている。元来、神社には神の家である本殿はなく、神奈備あるいは三諸と呼ばれる山や、神籬と呼ばれる木、磐座と呼ばれる石などで祭祀を行い、そこに神が宿ると信じられてきた。いいかえれば、自然そのものに神が融合していた。このような自然=神といった概念は、どこからきたのだろうか。本書は、神社の系譜を考える上で従来はあまり用いられなかった「自然暦」という視点を取り入れ、新たな切り口から神々の系譜について考える。
目次
第1章 怨霊の神々(神田神社(東京)―伝説の絶えない場所
上・下御霊神社(京都)―天皇にふりかかった怪異 ほか)
第2章 王権の神々(大神神社(奈良)―巨大な正三角形
吉備津神社(岡山)―鬼退治伝説の遺構位置 ほか)
第3章 大和朝廷と東西線(鹿島神宮(茨城)―「日立ち」と大和朝廷成立
出雲大社(島根)―朝鮮との深い関係 ほか)
第4章 氏族の守護神(春日大社(奈良)―交通安全の神
厳島神社(広島)―神社建築にない配置 ほか)
第5章 人を神として祀った社(日光東照宮(栃木)―奇妙な遺言
豊国神社(大阪)―神への再生 ほか)
著者等紹介
宮元健次[ミヤモトケンジ]
1962年生まれ。1987年東京芸術大学美術研究科修了。龍谷大学国際文化学部助教授を経て、大同工業大学工学部建築学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamahiko
23
こじつけと切って捨てられない、単純に読み物としての面白さがありました。日本史を「楽しむ」一つの補助線になると思います。2019/01/26
あまね
21
とても興味深く読了しました。著者の宮元氏が東京藝術大学ご出身の建築家でいらっしゃるというのがまた興味深いです。有名な神社が春分・秋分の東西ライン、夏至・冬至のラインにぴたりぴたりと建築されていることに驚きました。こちらの本を片手に旅をするのも面白そうです。2021/01/11
大阪魂
16
神社を建てるときは、夏至、冬至、春分秋分の日の出日の入りを考えながら、山とか磐座とか他の神社とかを意識しながら建てたってお話。たしかに太陽が神ってされてた時代とかやったらそーやったんやろなあって思って読んでたけど、住んでる大阪とか京都の話になってくると、え?そんなとこにその神社ないんやけど…ってなって、結局なんか他のお話も信じられへんなあって(>_<)でも、飛鳥とかならありなんかも?発想としてはありげな話やし、今度いったときみてみよ!2017/02/18
kk
15
夏至・冬至・春秋分の日の出・日没の方角に着目した「自然歴」なる考え方を手掛りに、古来の有名神社について、その地理的な位置や相互関係、さらには来歴などについて想いを馳せるという趣向。加門七海さんとかだったら「結界だ!」とか言って騒ぎ出しそうな一冊。内容的にどこまで当を得ているのかkkにはわかりませんが、こういうものの見方もあるのかなと、ちょっと新鮮な興味を唆られました。2021/10/23
のん
15
神社と自然歴についての考察?!面白かった。2019/01/25