アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生

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  • サイズ B6判/ページ数 224,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784326653270
  • NDC分類 383.16
  • Cコード C3039

出版社内容情報

『不思議の国のアリス』や『小公子』から子供服は誕生した。その誕生と普及に絵本が果たした役割と、服に投影された人々の欲望を描く。

児童文学作品に登場する「無垢でかわいらしい」主人公の服は、従来の服にはなかった「子供らしさ」を価値として規定し、発信することによって子供服という商品を誕生させた。ヴィクトリア朝後期、中産階級の勃興と消費文化の確立を背景に、児童文学作品から子供服が生まれた経緯を辿り、服に投影された人々の欲望を描き出す。

[関違書] 同著者 『おとぎの国のモード』 (勁草書房刊)


序章 キャラクター子供服
 1 子供服とは何か?
 2 ヴィクトリア朝後期からエドワード朝期のイギリス社会
 3 子供時代特有の文化の形成

第一章 アリスがつくった理想の少女服
 1 『地底の国のアリス』におけるアリス像
 2 テニエルが描くアリス
 3 「黄金の午後」の服へ

第二章 レトロでかわいいグリーナウェイ・スタイル
 1 『窓の下で』にはじまるグリーナウェイ・ブレイク
 2 グリーナウェイ・スタイルのドレス
 3 理想の子供時代をつくる服

第三章 ハバードおばさんファッション
 1 異色のキャラクター
 2 イメージアップ
 3 ハバードおばさんドレス

第四章 フォントルロイ・スーツ
 1 フォントルロイ・スーツができるまで
 2 嫌われた理由
 3 好かれた理由
 4 男の子らしい服

第五章 セーラー服
 1 セーラー服ができるまで
 2 子供服としてのセーラー服
 3 大英帝国を守る小さな水兵
 4 良い子のユニフォーム

終章 理想的な子供時代とキャラクター子供服

あとがき
図版出所一覧

内容説明

身分制の解体と19世紀後半の消費文化の成立は、『不思議の国のアリス』『小公子』などの大ヒットとともに子供服というコンセプトを打ち立てた。ファンタジーを媒介とした欲望の体系、現代のモードの源流がここにある。

目次

序章 キャラクター子供服
第1章 アリスがつくった理想の少女服
第2章 レトロでかわいいグリーナウェイ・スタイル
第3章 ハバードおばさんファッション
第4章 フォントルロイ・スーツ
第5章 セーラー服
終章 理想的な子供時代とキャラクター子供服

著者等紹介

坂井妙子[サカイタエコ]
1990年日本女子大学大学院文学研究科博士課程前期修了。1995年ロンドン大学大学院博士課程修了(M.Phil.取得)。2004年ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館特別研究員。日本女子大学人間社会学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

山猫

10
登録忘れ。求めていた内容ではなかった。

シルク

9
すごい資料使ってるよな、この人は資料発掘の達人、敏腕、ん~何て言ったらいいの? あ、ゴールドフィンガー? ......と、思った本。イギリスのどこかの博物館か資料館だかで大切に保存されている昔むかしのこどものお洋服やら、お洋服の古い広告やら、「そんなん残ってるの?! すごいね?!」といちいちびっくりしてしまうような資料をこれでもか、これでもかと使って、こども服の歴史の一端を明らかにした本。図書館に大急ぎで返してしまって、じっくり読めなかったから、いずれ再読しやう。2020/01/23

kenitirokikuti

8
図書館にて。セーラー服の章を再読。英国で水兵の制服が次郎定められたのは1857年と新しい。海軍力向上のため海賊スタイルを改めたのである。一般向けセーラー服が売り出されたのは、ビーチ・リゾートと関係がある。セーラー服が好まれた理由のひとつは、ユニセックス性。英米でも女子の通学服や制服として採用されている。男の場合、士官候補生が雑兵の服を着るのはおかしいため、水兵服の学生服化は進まなかった。と、これは別の本の記述。2022/01/10

らむだ

4
ヴィクトリア朝の児童文学と社会的背景から、子供服の誕生を考察した一冊。 ※アリス、グリーナウェイ•スタイル、ハバードおばさん、フォントルロイ•スーツ、セーラー服。2014/05/14

富士さん

3
再読。ビクトリア朝後期は、産業革命によるギトギトした成長期への反動として無垢なファンタジーが流行した時代であって、その世界観へのコスプレとしてキャラクター商品が流行したという指摘は、ドジソン大先生の美少女ヌードから社会主義の発展までを合わせて説明できるよい枠組みだと思いました。この時代の価値観は、特に性趣向の領域で未だに大きな存在感を保っているのかもしれません。著者はキャラクター商品を”制服”として見る立場のようで、主に世界観への接点として見てきたものにとっては、スルーしていた盲点を突かれる感じでした。2020/09/16

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