出版社内容情報
本書は新約聖書の外面的成り立ちを問題にする。二世紀から五世紀にかけての正典化の歴史を第一章で扱い,ウF,新約聖書の言語の問題,写本と正文批判,翻訳史を概観する。
内容説明
新約聖書をめぐる基本的な問いに答える。成り立ち、言語、写本、翻訳を詳細に解説した画期的な入門書。
目次
第1章 正典化の歴史(カノーン(正典)と「新約」
旧約聖書という矛盾
「異端」から正典がはじまった! ほか)
第2章 新約聖書の言語―新約聖書のすべての文書がギリシャ語で書かれているという事実は何を意味するか(後一世紀のパレスチナの言語;パレスチナにおける帝国支配の言語;地中海世界の言語状況 ほか)
第3章 新約聖書の写本(写本の種類;正文批判について;ギリシャ語テクストの印刷公刊本 ほか)
第4章 新約聖書の翻訳(どの翻訳を用いるのがよいか;聖書翻訳の社会的機構;古代ラテン語訳 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
56
四半世紀以上前に読んだ。「聖書」についての本ではピカイチではなかろうか(新約に限られるのが惜しいが)。生活苦で手離してしまったのが今も悔やまれる。いま読んでる栗原康著「超人ナイチンゲール」にて田川の「イエスという男」に言及されてて田川のこの名著を思い出した。
Tonex
36
通読3回目。もっと評価されてよい本なのに、著者の必要以上に攻撃的な芸風が足を引っ張っている。▼この本は面白いが、各論の『新約聖書 訳と註』シリーズはどうにも面白くなくて、いつも1巻の途中で挫折。2016/07/10
Tonex
17
通読したのは2回目。前回は図書館で借りて読んだが、手元に置いておきたくてネットで古本を買った。買って良かったと思う本はなかなか無いが、これは当たりの部類。◇信仰目的で新約聖書を読んでる人はまた別の意見があるだろうが、教養目的で新約聖書を読む人には必読書だと思う。新約聖書という本は一体何なのかについて書かれた本だが、新約聖書だけでなく広く古典文学や翻訳本を読む際の注意点や問題点も学べる。著者の個性が強すぎるが、これは難点でもあり魅力でもある。2016/01/24
Francis
12
2000年頃NIFTYSERVE 聖書フォーラムで好評だったので購入。その時は洗礼前でした。今回猫町倶楽部で聖書読書会があり、久しぶりに読み直した。新約聖書成立の事情などが近年ん聖書学の成果を踏まえて述べられる。そして新約聖書翻訳の歴史が後半で語られる。面白い。特に私の使っているフランシスコ会聖書研究所訳が高く評価されているのはとても嬉しい事である。(橋爪大三郎先生は猫町のレクチャーで言及してなかったが、橋爪先生はルーテル派でカトリックに対抗意識を持っているから?共同陪餐関係にあるけどダメですか?)2022/03/16
angelooo7
12
学問としての入門書とはいかにあるべきか。一つの答えが本書と言ってそれほど間違いでない。宗教は関係ない。学問に向き合うこと。その誠実さを感じる。2015/06/02