河出文庫<br> 仙界とポルノグラフィー

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河出文庫
仙界とポルノグラフィー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 340p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309472874
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0139

内容説明

「西遊記」に登場する白い鸚哥にかねがね関心を抱いていた著者は、西洋の古地図の中にそのイメージを発見し、十六世紀の東西文化交流史の一端を探り、ついで関心は古地図とパラレルな関係にあった星座図のなかの鯨座にいたり、話題は龍との関係性に及ぶ。そして龍から博山炉へ…。イメージがオブジェが連鎖し、円環する博識あふれるエッセイ集。奇想の博物誌。

目次

白い鸚哥
鯨座の尾
龍と博山炉
北斗の城
天子の動物園
「ディー判官もの」の作者
金属動物
人工洞窟
ひょうたんの宇宙
仙界とポルノグラフィー
煉丹術ドラマ
悲劇のウロボロス

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

41
冒頭の「白い鸚鵡」の、知られざる東西交流がおもしろい。鄭和のキリンを持ち帰った航海が、ヨーロッパの大航海時代に先がけていることを思うと、アジアの方が積極的だった時代を再認識させられる。駐日大使・学者・ミステリ作家を兼ねていた、「ディー判事」シリーズで知られるファン・フーリクの多才ぶりには驚く。一度読んでみよう。陶淵明「桃花源記」にも目を通したい。2018/05/04

白義

16
遊郭と仙界の空間的な構造を同型と見て、仙女の行き着く果は遊女であると、性と神秘の宇宙を結びつけるように、天の宇宙と壺や瓢箪、はたまた洞窟のような小宇宙がいかに対応しているか、博引旁証で連想の働くままに語っていく魅力的な論考集。わざわざ仙界とポルノを結びつけるくらいだから妖しく性的な隠喩の読解が多く、表題作と錬丹術を扱った章はまさにというところ。しかし白眉は全体のまとめとしての「悲劇のウロボロス」だろう。回文を扱ったこの章は著者一流の回文小説が次々と披露されるだけでなく、最後は本書自体を回文で要約してしまう2017/11/22

misui

7
「錬金術の宇宙の閉ざされた空間、その不透明な言語、論理の迷宮、奇妙な仄明り、突如として落ちかかる闇、鏡を張りめぐらした回廊と、その間をひっそり行き来する龍や裸体の女神、王冠を戴いて殺害される幼児、火中で燃える王、恋人同士に楽師たち、死刑執行人に鷲、獅子に王妃など、こうした魅惑的かつ壮麗きわまる図柄、己れの素顔をかたくなに覆い隠したこれら主役やら端役やらの謎めいた一群は、その人気ない王宮の中、河辺、廃墟の中、あるいは秘密の庭園などにあって、一つの宇宙論的ドラマを思い起こさせる。2017/10/12

つだしょ

3
<遠浅>のエッセイ集。興味深い事例以外は読み飛ばせる。テーマを羅列しているような遠浅のエッセイ集。テーマのことば選びが好きで、内容にも惹かれるものが多いから読める。 タイトルにあるテーマについて、内容は目新しいわけではない。古来、「山に行き別世界に入り出てくる」というパターンを、遊郭と置き換えるだけ。黄河上流に位置していた理由を想像するのは面白い。 キルヒャーやファン・フーリック「古代中国の性生活」、庭園の人工洞窟(=女性器?、グロットー)、その他参考文献や資料が魅力。2013/05/02

みっく

2
中国文学の図像学について。回文でのあとがきがすごい。2010/03/15

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