内容説明
『余白の街』でゴンクール賞を受賞し、現代フランス文学のエロス的幻想ジャンルを代表する作家の、珠玉の短編集。ローマの北方に密かに佇む十六世紀の遺物「謎の怪物庭園」をめぐって、聖なる人工廃墟の芸術性を浮き彫りにする表題作のほか、『黒いエロス』『ジュリエット』『イギリス人』など、眩惑と官能と怪奇が交錯する独自の世界を渋沢龍彦が編訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
渡邊利道
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エッセイ集+α。表題のエッセイはイタリアのバロックな彫像の森を楽しげに語ったもの。マンディアルグの芸術観がよく理解できる。「黒いエロス」はタイトルの通りエロティシズム芸術を語ったもので、わりと本気らしいことが解るが、それにしては優雅なのだった。「ジュリエット」はとても明るいサド論。イタリアのサドの楽しさについて触れる一節が素晴らしい。「遺物」は虫、「海の百合」は植物について博物誌的趣味を全開させながら書いたもの。小さくて軽い本だがどれも心から楽しめる。2017/08/30
OKKO (o▽n)v 終活中
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初マジ読み。◆表題作は1957年発表、当時のサクロ・ボスコの荒れっぷり、初期研究の様子が見える。◆著者は「サクロ・ボスコはエロ庭園」説の元祖。私は心の底では支持しつつ、今回はエロ抜きで研究中。それでも十分面白い。◆エッセイ数編と小説一編併録。翻訳とセレクションは澁澤龍彦。エッセイは興味持てないテーマゆえまとめて3分。小説『イギリス人』はまあサド系。このテにありがちなトリビアリズムetcは総てとばし、「いかにして」描写だけゆっくり読む。こういうの第一次学生時代以来だが、たまにだとめちゃ面白い♪( ´θ`)ノ2013/06/18
OKKO (o▽n)v 終活中
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ボマルツォのSacro Boscoに対し、ややもするとマンディアルグ流のエロティックな解釈で決まり! と思い込んでしまいそうになるが、そこで留まっていては研究にならぬ。2012/07/30
yunomi
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積読本の山の中から適当に1冊抜き出して読み始めたのだが、この前に読んでいたバタイユと近いスタンスの作家だった。こういう偶然は結構多い。それにしても、巻末に抄訳が掲載されている「イギリス人」は、どうなんだろうか。サドの小説から、悪に関する韜晦な演説部分を省いて、エログロに特化した様な小説だが、この調子で長編を読み通すのは辛いかも知れない。2011/05/23
sakura-rose
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この怪物庭園に行ったなら、納得?