内容説明
夢の世界に生きた十九世紀バヴァリアの狂王の生涯を描いた表題作をはじめとして、サド侯爵、人形、説話、宮廷怪異譚、神話と絵画、植物、昆虫、古本、パイプ、機関車等々、イマジネーションは古今東西縦横無尽に展開していく。著者の思考の源泉がかいま見える、傑作エッセイ二十五編を収録する。
目次
知られざる発明家たち
人形雑感
太陽王と月の王
宇宙論について
植物界のイカロス
ホログラフィ頌
北斎漫画について
お化け屋敷の光源氏
化けもの好きの弁―泉鏡花『夜叉ケ池』公演に寄せて
魚の真似をする人類
パイプ礼讃
世話好きの弁
パリの昆虫館
神話と絵画〔ほか〕
著者等紹介
澁澤龍彦[シブサワタツヒコ]
1928‐87年。東京生まれ。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
73
ごく短いエッセー25篇。話題はさまざま。縦横無尽に話が膨らんでいくものはないのでかなり読み易い。『架空対談✳︎サド』が面白い。シブサワがサド相手にサディズムやマゾヒズムを講釈するの。2021/12/30
kinkin
64
エッセイ集。すべてを分かろうとせず著者の手品を見るつもりで読んでみた。本の中から様々な小さな宇宙から大きな宇宙までそっと語りかける。語りかけをうつらうつらとしながらぼんやりと味わいたい。肩に力を入れて読むと疲れると思う。がっしりと設えた革張りの椅子に腰掛けている著者の姿を感じた。2016/02/03
双海(ふたみ)
17
「架空対談*サド」が気に入りました。著者”シブサワ”がサドと対談するというものです。サドの作品を読んでいたので大いに納得しました。2014/04/21
mugi
7
目にとまったものから読んでいったら、道に迷ったような読書体験に。とにかく読みやすかった。表題作が興味深い。アポリネールの月の王が気になる。サドとの架空対談は物凄い言葉が飛び交っているのに何だか二人の意地の張り合いが面白可笑しくて和んでしまった。澁澤先生による正しい日本語講座と綴方講座も。すべからく、一読すべし!2014/03/09
かりこ
7
澁澤龍彦さんの趣味趣向がかいま見えるエッセイ集。特に本全体に一貫したテーマは無いようで、植物にパイプに神話にサド侯爵にと様々な内容のエッセイが収録されている。私が特に印象に残ったのは「パイプ礼讚」。今までパイプというものに対して興味も関心も良い印象もなかったのに、これを読むとパイプというのも中々素敵なものかもしれないな、と思い始める。パイプを女に例えるのもまた面白い。2013/09/07