内容説明
ユニは十九歳、なんだかとても、“宙ぶらりんな存在”のような気がする。一緒に暮らしていた男から放り出され、「クラブ・ヌー」でフェイスと出会い、投げやりな共同生活を始めた…。“温もり”を求めてさまよう、青春の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
325
実に久しぶりに読む鷺沢萌。タイトルの「ハング・ルース」は、表紙の写真にあるハワイでは挨拶によく用いられる、この手のポーズ。これ自体に深い意味はなさそうだが、本書ではいかようにも解釈できそうだ。私のそれは"Let it be"。本書は「ユニ」、「ユニとフェイスのクリスマス」、「フェイス」の3部構成から成る。前半の2章はユニの視点から、そして最後はフェイスが語る。よくわからないのは、最終章と先の2章との関係性。これでは未完にしか見えないのである。ユニの抱えていた問題は積み残されたままに唐突に終わる。⇒2023/05/29
ふみ
27
いやあ驚いたなぁ。こんな恋愛小説だとは思いもせず。 ベタ甘になる一歩手前で立ち止まる芯の強い乙ゲーみたいだった。 2018/04/11
太田青磁
10
「眠る」なんていう人間のもっとも基本的な欲望が、なぜ叶えられないんだろう……・いろんな種類のいろいろな人の部屋を渡り住んできたせいで、由似は部屋はその主の人となりを実によく反映するものであることを知っている・――信用できるのは、やっぱり体温なんだ……。抱かれながらそんなことを考えた・――二十回目のクリスマスは雨だった……。ユニは子どもみたいに窓にへばりついて外を眺めながら、胸の中で言ってみた・「電話してもいなかったときにね、寝てるとき冷たいフェイスの肩思い出してね、なんだか怖くなっちゃったんだ……」2020/05/14
taiju
6
記録2020/04/08
あるちゃ
6
鷺沢作品にどっぷりはまったころに買い集めた作品の一つを再×n読。 この作品を一つのパズルとするならば、すべてのピースがバラバラで好き勝手な方を向いて取っ散らかっているのにもかかわらず、それらが何か一つのものを描いているという印象です。 傍から見れば毎日をダラダラと、ユニやフェイスにしてみればその日その日をそれなりに一生懸命過ごしているのだと思う。 脇を固める人たちは、なんとかなる、なんでこうなったんだろう、という道を彼らよりさらに先を生きていているか、フェイスが一時憧れたような普通に働く生活からちょっとガ2016/10/05