河出文庫<br> 毒薬の手帖

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河出文庫
毒薬の手帖

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  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309400631
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

殺人というタブーにふれる行為において、殺人者を最も魅了し興奮させた手段は毒を用いること……毒薬には妖しい魅力が満ちている。それは殺す者と殺される者の間に、劇的シチュエーションをもたらす。数ある殺人のなかでも、「毒殺」こそが犯罪の芸術なのだ! 毒薬と毒殺事件をめぐる異色のエッセイ集。

澁澤 龍彦 (シブサワ タツヒコ)
1928-87年。東京生まれ。東大仏文科卒。マルキ・ド・サドの著作を紹介する一方、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを数多く発表。晩年は『高丘親王航海記』など小説に独自の世界を展開した。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

78
推理小説好きなら読んで損はない。著者は毒殺を《咒術の延長線上にある》としているが、服や食器や本や聖体パンや浣腸器に仕込んだり、毒を摂取した娘を敵に送ったり…と身震いするような奸佞邪知はなるほど咒術に通じるものがある。印象に残ったのは妖術師が使う「青ガエル」「トファナ水」、入手容易な「砒素」等の毒薬と、17世紀フランスに実在した二人の侯爵夫人の話。彼女らは悪徳司祭や魔女めいた薬売りに取り巻かれ、毒殺や変態行為の限りを尽くしたらしい。終章でシアン化物と帝銀事件に触れているが、できればサリンの話も聞きたかった。2018/05/07

阿部義彦

27
毒薬を巡る、来歴、事件、犯罪者、解毒剤等を歴史順に文化的タペストリーとして紡ぎ出します。古くから皇帝等身分の上の者が毒殺される事が多かったので、それを避けるために王宮の庭に毒草園を作り、日夜真剣に毒物や解毒剤の研究にふけっていたそうです。かなり残酷な人体実験も行われたでしょう。昔は迷信も多く、マンドラゴラやプリニウスの大好きな『海ウサギ』にも触れられています。毒殺の犯罪者には女性が多いのにも驚きます。衝動的では無く、入念な下準備が必要で、嫉妬、怨恨、金銭等が動機で多い。近代では『帝銀事件』にも言及。2024/02/23

有理数

24
澁澤龍彦による「毒薬」に関するエッセイ。古今東西のあらゆる毒殺事件、毒殺魔、毒殺方法、著名な毒の原材料といった、いったいこんな知識と情報どこから集めてくるのやら、という量の「毒」に関する文化史を饒舌に語っています。ものすごく面白い。古代ギリシアから現代日本まで。マンドラゴラの挿絵もあり、魔術的で妖術的な空気の迸る内容に惹かれる。2016/02/27

Tomoichi

22
エジプト・ギリシャに始まって毒の文化史というか殺人史をまとめたエッセイ。「ほんまかいな」というような内容に溢れるが、特に太陽王の頃のフランスはえげつない。そりゃ革命起こるわって感じです。そして遅れたきた大国ロシアも毒殺やテロの挙句革命で王政転覆。毒殺から見る世界史って本があるのか知らないけれどあったら読みたいな(笑)2016/09/06

zoe

21
時代によって毒も変わる。ご存命であれば、ポロニウムも加筆されていたかもと思った次第。匿名で誰かをいたぶろうとするのは、昔も今も変わらない。2022/02/04

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