先住民と差別―喜田貞吉歴史民俗学傑作選

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  • サイズ B6判/ページ数 298p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309224770
  • NDC分類 380.1
  • Cコード C0039

出版社内容情報

先住民と差別の問題を追究した喜田の面目躍如たる文章の集大成。国栖、蝦夷から、くぐつ、サンカ、憑き物、人柱、法隆寺再建論まで。

内容説明

歴史学と民俗学の博捜する知見と鋭い洞察力を駆使して、先住土着民俗と差別の問題を追究し続けた喜田貞吉の面目躍如たる代表的な文章を集大成する。国栖、手長足長、蝦夷から、サンカ、憑き物、人柱、法隆寺再建論まで。

目次

1 先住民族と日本民族(「日本民族」と何ぞや―日本民俗の概念を論ず;国栖の名義 ほか)
2 差別と漂泊放浪(間人考;くぐつ名義考―古代社会組織の研究 ほか)
3 歴史と考古学(周防石城山神篭石探検記;法隆寺再建非再建論の回顧 ほか)
4 習俗と土俗を遡る(火葬と大蔵―焼屍・洗骨・散骨の風俗;人身御供と人柱 ほか)

著者等紹介

喜田貞吉[キタサダキチ]
1871年、徳島県生まれ。古代史・考古学・民俗学。京都帝国大学教授。アイヌ・蝦夷研究、法隆寺再建論、被差別部落研究の先駆者。1939年逝去

礫川全次[コイシカワゼンジ]
1949年生まれ。在野史家。フィールドは、近現代史、犯罪・特殊民俗学。歴史民俗学研究会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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gtn

27
「先住民史観」に立つ著者。戦中、日本民族が中堅となり、諸民族を同化融合せねばならぬと説き、それが他国侵略の理論武装ともなった。著者を優れた歴史家と評価する編者さえ、なぜ自らすすんで帝国日本のイデオローグとしての役割を引き受けようとしたのかと訝るが、著者の経歴をみればなんとなく分かる。著者は元々文部省の出。国家公務員は、保身のため、時の権力に忖度することを第一義としており、かつ、慣れている。2021/12/03

田中峰和

6
先住民の研究は遺跡の発掘と神話の分析から影響を受ける。前者の場合、縄文人と弥生人という分類が重要だが、後者では記紀神話の解釈が中心となる。神話を解釈する際、問題なのは戦前の皇国史観が学術研究を阻んだとい事実。大逆事件の被告・幸徳秋水は明治天皇暗殺未遂事件の裁判で皇室の正当性を問うた。今の天皇家は南朝の天皇を殺害し、三種の神器を奪った北朝の末裔で、それを神と崇める思想を批判した。先住民アイヌは本州にもいたが、大陸から下った民族に征服され蝦夷に撤退した。弱者の先住民は差別され、皇族が頂点の征服民は強者となる。2022/12/10

てれまこし

0
より慎重な柳田国男に比べて、喜田は気軽(?)に大胆な仮説を提示していく。その真意が測り難い柳田に対して、日本人とは皇威のもとに同化された混合民族であるという一視同仁の同化主義もわかりやすい。それが故に批判も容易なのだが、今日振り返ると至るところに先住民の陰を見る喜田の方が、より現実に近いような気がする。しかも、蝦夷が武士道に与えた影響など、一方的な同化というより、むしろ北方文明が西方文明の在り方を変えてしまったような解釈も魅力的だ。もののけ姫のアシタカなどもこうした喜田の蝦夷観に基づいたキャラなのかも。2018/04/26

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