内容説明
音と言葉は、みずからをも解体に導きかねない切迫した対話の上に、すぐれた芸術を生み出してきた。本書はバッハから現代に至る数々の音楽作品と、ヴァレリー、プルーストなど文学者の音楽観を素材に、音楽と文学のかかわりを通して近代芸術の特質を照らし出す。
目次
音楽と詩との対話
《カルメン》ビゼーのオペラとメリメの小説
《牧神の午後への前奏曲》ドビュッシーの管弦楽曲とマラルメの詩
《ドン・ジョヴァンニ》モーツァルトのオペラとモリエールの戯曲
《オテロ》ヴェルティのオペラとシェイクスピアの戯曲
『ファウスト』ゲーテの劇作とベルリオーズの声楽作品
《ヴェニスに死す》ブリテンのオペラとトーマス・マンの小説
《死人の家から》ヤナーチェクのオペラとドストエフスキーの小説
《大地の歌》マーラーの交響曲と中国の詩人たち
《エレクトラ》R・シュトラウスのオペラとソポクレス、ホーフマンスタール
《魔王》シューベルトの歌曲とゲーテの詩
《月の光》フランス歌曲と象徴派の詩人たち
《マタイ受難曲》J・S・バッハの声楽曲と聖書
作曲者への私信 オーデンとストラヴィンスキー
《火刑台上のジャンヌ・ダルク》をめぐって―クローデルとオネゲル
ヴァレリーと音楽
プルーストと音楽