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内容説明
名作マンガを生み出した漫画家たちは、絵と言葉を駆使して、自らの「世界」を表現する「職人」であり、「漫画」というジャンルを通して自らの「人生」を切り拓いた「達人」である。例えば、本文中にある楳図かずお氏のインタビューでは、氏のマンガの「恐怖」の原点が、ひとりのヒーローではなく、無名の子供たちが集団で行動する際に感じる「怖さ」であることを学んだ。そして、氏の「絵の巧さ」がそれに一層深い効果をもたらす。子供たちが目の前で起こることに対する恐怖を、実際に絵で表現できなければ、その「恐ろしさ」は半減してしまうのである。こう考えると「漫画」という表現手段は、我々が考えている以上に、深い「意味」を秘めている。
目次
第1章 スーパー漫画家たちの「型破り人生」(弘兼憲史「課長島耕作」―苦労も下積み時代もナシ「社長 島耕作」も近い!?;本宮ひろ志「サラリーマン金太郎」―あざとさこそ俺の真骨頂新しい刺激を求めて模索中;小林よしのり「ゴーマニズム宣言」―バブルの東京に怒り爆発、人間の弱さと哀しみを叩きつける;小山ゆう「がんばれ元気」―リアリズムと細部にこだわり、スーパーヒーローを想像した「天才」)
第2章 永遠の「ヒーロー」を育て続ける男たち(ちばてつや「あしたのジョー」―まだ白い灰になってない「代表作はこれから描く」;政岡としや「ダボシャツの天」―ディテールへのこだわりを学びヤクザも警察も徹底的に取材;モンキー・パンチ「ルパン三世」―ルパン一筋の漫画家生活、主人公五人の魅力は国際級;藤子不二雄A「プロゴルファー猿」―自由気ままに動く主人公がやがて時代をあぶり出す)
第3章 「巨匠」たちの円熟と挑戦(さいとう・たかを「ゴルゴ13」―群れたがる日本人を攻撃し続ける醒めた眼;松本零士「銀河鉄道999」―「世界で最初のテーマ」を描く貧乏も苦労もその栄養;水木しげる「ゲゲゲの鬼太郎」―「妖怪いそがし」に取りつかれるも、「水木式幸福七ヵ条」を守る巨匠;楳図かずお「漂流教室」―「新しいモノに出会う怖さ」を現代人は失ってしまっている)
第4章 「時代」を描いたトップランナーたち(古谷三敏「ダメおやじ」―父権失墜からウンチクへ「現代の民話」を描き続ける;細野不二彦「ギャラリーフェイク」―作者も主人公もダブルフェイスオタク世代のトップランナー;吉沢やすみ「ど根性ガエル」―超能力がないピョン吉だから永遠の人気者になった)
著者等紹介
桐山秀樹[キリヤマヒデキ]
ノンフィクション作家。1954年、名古屋市生まれ。学習院大学法学部政治学科卒。雑誌記者を経て、日本人が定年後、海外移住する姿を描いた『第二の人生いい処見つけた』(新潮社)でデビュー。現場に足を運ぶ丁寧な取材力には定評があり、広い分野に独自のルポ記事を発表し続けている。長野県軽井沢町に仕事場を置く
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。