内容説明
征腹者は王女を奪うだけでなく、被征腹者の神々を別なかたちにして認めるという方法で抹殺していく。例えば、ナーガとナーギ→シヴァ神→不動明王という図式である。しかし、被征服者は彼らの真の神を忘れない。変形された神々に、怨念と悲憤をぶつけ、強力な呪詛神へと仕立てていく。わが国では、弁才天女に役の行者、山伏、忍者、海賊、猿楽者、琵琶法師、鉢屋衆などがからむ。本来、美しかるべき弁才天女に、カーリーやドゥルガー、宇賀神、荼古尼天、稲荷などの性格が加えられ、恐ろしい鬼女へと変身していく間には、虐げられた人々の慟哭があった。
目次
弁才天に呪詛した北条政子
仏典が説く弁才天
天河弁天が惹きつけるもの
陰で動いた役の行者の組織
恐ろしい弁才天の呪詛
死してなお戦う秀吉と家康