出版社内容情報
中国古代の思想家たちの卓越した見識を知り、それを生き抜く心の支えとした日本の各界の創業者たち。今こそ先人の英知に学ぶべし
内容説明
日本を代表する企業の創業者たちの言行をつぶさにみるとき、それらが中国の歴史や古典にあることとみごとに一致する。それにしても、次代の先覚者たちが、これほどまで同様の苦難を体験していようとは。歴史はまさに人生の教科書である。人間の真価が問われる今日、中国歴史小説の第一人者が「人はいかにあるべきか」を記す。
目次
人相篇―強烈な個性をはなつ異相の人物
言葉篇―ことばは、過信することなく重んじる
真偽篇―真偽を正しく知るは大いなる力
才能篇―“努力し得る”才能こそ天才の本質
命名篇―時間と、人に対する命名
創造篇―創造力を支える実見・実用
教育篇―教育により人は立つことを得る
死生篇―平安な時にそなえあって天命に耐える
父子篇―先達である父の教えは道理にかなう
人材篇―人材の登用が明暗を分ける〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
著者の生き様を学ぶ庵さん
33
孔子からホテルニューオオタニ創始者・大谷米太郎、マッサンの竹鶴政孝、西鶴が「日本永代蔵」に現わるる網屋に至るリーダーシップ論。死生観、父から子への教え、異相など、宮城谷昌光先生独自の視座に平伏せり。「父から子への教え」に取り上げられし堤康次郎が諸事業失敗の果てに謂ひし言の葉は商売の本質たり。言ひて謂はく「儲けなくともよいから、この世のために少しでも出来るだけのことをしよう」。こは孟嘗君の食客・馮諼が債務者の証文を燃やしし時の言に似たり。曰く「こちらになき義を買いにけり」。2015/12/25
Tanaka9999
10
1996年第1刷、文藝春秋の文春文庫。「会社人間上昇学」の改題ということで、既読。のはずなんだけれども、全く記憶にない。「会社人間上昇学」の感想として「タイトルからすると現代日本のエピソードの方が重要なのだろうが、どちらかいうと、古典のエピソード集のような感じの方が面白いのではなだろうが。」と書いたのだが、このタイトルだと古典のエピソード集のような感じになる。が、しかしエピソード集だけとなるとやはりこの作者の文はあまり面白みがないと感じる。2023/10/08
ぽんぽこ
4
小説ではない宮城谷昌光さんは初めて。ビジネスマン必読!とありますが、日常を生きる私たちにも十分役立つ考え方でした。「わかりやすく、おぼえやすいものは、かならず正しいことを言っているのです」「わかりにくく、おぼえにくいものは、かならず間違った説をたてているものです」これは江戸時代の儒学者・伊藤仁斎の言葉。これは耳が痛いですし、だれもが心がけないといけないことですね。肝に銘じます。2022/01/24
caramelscratch
4
中国に例をもとめると、みずからの王朝を滅亡させることになった夏の桀王や商の紂王は、人や物の愛しかたは一途であり、正直であったともいえる。考えようによっては、のちの聖王といわれる商の湯王や周の文王、武王のほうがよほど腹黒い。桀王や紂王の失敗は、妙ないい方かもしれないが、かれらがあまりに人間でありすぎたということである。(p153-154)2015/12/21
おらひらお
3
1996年初版。日本の大企業の創業者の言行と中国古典・歴史と絡めた人生論かな。人相・言葉・真偽・才能・命名・創造・教育・死生・親子・人材・先覚者・哲理・貧富・信用・観察篇からなります。2019/12/25