文春新書
雑草にも名前がある

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  • サイズ 新書判/ページ数 217p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166603855
  • NDC分類 470.4
  • Cコード C0295

内容説明

小説などによく登場する「道ばたの名もない草」という表現。しかし、名前のない人間がいないように、カラスだのイヌだの、ひどい呼び名であれ愛らしい名であれ、どんな雑草にも必ず名前があるのだ。人間から邪魔者扱いされながら人間世界にたくみに適応してきた雑草の生態と、同じように社会から除け者扱いされながらも個性豊かな生を全うした有名無名の人物とを重ね合わせながら、歴史の闇に消えかけている彼らの生涯に光を当てた28篇の好読物。

目次

獄窓の一輪―エノコログサ
夢二の絵は売れなかった―オオマツヨイグサ
阿仏の執念―ヒガンバナ
『雑草』の人―ヘクソカズラ
真夏の夜の妖艶舞―カラスウリ
幻視の画家―オオイヌノフグリ
逃げ出した自由人―オオケタデ
維新の町は陽だまりの中―オドリコソウ
牛歩を貫いた歌人―オミナエシ
出稼ぎ西南戦争―ネジバナ〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

itokake

16
タイトルと中身が違いすぎ!新書でこれをやるとは…、文春大丈夫か?半分以上は雑草から着想を得た人物伝。例えば、エノコログサは島秋人。彼は獄中でエノコログサの歌も詠んでいるので、取り上げる理由としては、まあわかる。ところが、スズメノカタビラ。根強く、ちょっと引っ張っても抜けない。「どこか、海を渡った日本移民の姿に似ている」と無理やりに移民の話につなげてしまう。そんな強引な(ある意味、雑草的?)人物紹介や思い出話が繰り広げられる。面白いんだけど、新書というジャンルではないと思う。2022/09/21

田氏

5
特段見向きもされることのない雑草にまつわる、あるいは想起される逸話の数々。植物の生態にも勿論言及するが、それよりもドキュメンタリーや回想に比重を大きく取っている。挿絵は白黒の簡素なものである。より鮮明なイメージを描くには手元に図鑑が要るなと思い、後日改めて調べる為にメモを取りながら読み進めた。ページ数の割に読了まで思いのほか時間がかかったのはそれだけ内容が濃密だったからだろう。先日読んだ梨木香歩の「家守綺譚」とも、フィクションとノンフィクションの違いはあれど通じるものがある…かもしれない。2016/04/29

6haramitsu

4
雑草の描写と、それにまつわるような歴史や歴史上の人物や文人についてのコメントが、植物の本と思って読んでいると意外性があって面白かった。最後のカラスノエンドウの1文「人間も、苦しい時は待てばいい。あせらず時が来るのを待つ。雑草から学ぶ一番大切なこと。」が今の自分にしみ入りました。2015/06/08

無謀庵@Reader

3
図鑑的なものを期待していたけれど、開いてみれば、雑草をキーにして古今の歴史や文学へと話を広げる、教養あふれるエッセイのようなものだった。予想外ながら、なにしろ知らない話に満ち満ちていて面白くてしかたなかった。2017/09/17

オールド・ボリシェビク

2
さまざまな雑草と、それに絡む人物を重ね合わせてつづるエッセイ28編を収める。著者はふたり。雑草好きと歴史好きのふたりが、まとめあげたようだ。20年も前の本だが、内容が内容だけに、古びることはない。しかし、目新しいことも特にない一冊でした。2024/04/03

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