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文春新書
日本の偽書

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  • サイズ 新書判/ページ数 198p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166603794
  • NDC分類 210.3
  • Cコード C0295

内容説明

“記紀以前の書”といった荒唐無稽な偽書のたぐいには、意外にも正史には見られぬような精彩のある歴史像が描かれている。超国家主義者と深くかかわる『上記』『竹内文献』、東北幻想が生んだ『東日流外三郡誌』『秀真伝』など、本書では世間を騒がせた「太古文献」と呼ばれる偽書を取り上げ、ただあげつらうのではなく、どのようなメカニズムで人々の興奮を掻き立てて来たのかを検証し、人はなぜ偽書に魅せられるのか、その謎を詳細にさぐる。

目次

1 人はなぜ偽書せ信じるのか(歴史の偽書だけが生き残った;偽書には正史にない魅力が ほか)
2 超国家主義者と二大偽書―『上記』と『竹内文献』(超国家主義者と『上記』;内務卿大久保利通に上呈 ほか)
3 東北幻想が生んだ偽書―『東日流外三郡誌』と『秀真伝』(東北の風土には怪しげな伝説の土壌があるのか;盛岡市のマルコ=ポーロの像 ほか)
4 「記紀」の前史を名のる偽書―『先代旧事本紀』と『先代旧事本紀大成経』(本邦初の史書は『先代旧事本紀』?;『古事記』をしのぐ影響力 ほか)
5 偽書の何が人をひきつけるのか(人をひきつける不思議なもの;二つのキーワード ほか)

著者等紹介

藤原明[フジワラアキラ]
1958年、東京都生まれ。医学・自然科学系の出版社の編集者として10年間勤務の後、独立。ノンフィクションライター。評価の定まらない史料や怪しげな伝承・文献などが一人歩きする経緯について、独自の研究を続けている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

43
記紀以前の超古代史として取り上げられることが多い偽書。本書は後半、中世の注釈が現代のようなものではなく「つくる」ものであった点に注目する。伝承に対して新しい言説を生むことが当然と考えられていたのであれば、異伝を発生させることになる。そのような中世的思考が近代まで持ち越されたとすれば、なぜ荒唐無稽な偽書が現れたのか、その一端が理解できるように思える。2018/10/09

おMP夫人

8
何かとオカルティックな方向で興味を持たれがちな偽書。しかしこの本にはそのような味付けはなく、冷静かつ客観的に偽書がどのように作られていったかの考察がなされています。偽書の『内容』ではなく、『存在』に興味を持たれたら、最初に読んでおくのにちょうどよい本かと思えます。2012/04/04

杞人

4
偽書の興味本位な抄出でもなく、また偽書の真贋の告発でもなく、偽書の存立の背景に焦点を当てた新書。「言説のキャッチボール」という言葉に示唆的だが、人間は、複数の情報源(本、ヒト、モノ等)から同一の情報を得ると往々にこれを真実と錯覚しがちである。実際の所、もともと同じネタ元から流出した情報のなれの果て同士なのだから、コピー同士が似ているのは当然なのだ。こうしてひたすら偽書は偽書であることすら意識されずに伝播していく。厄介なことに、参加者たちは無自覚なままその片棒を担がされ続けているのだ。2011/08/03

hyena_no_papa

3
「3 東北幻想が生んだ偽書――『東日流外三郡誌』と『秀真伝』」を読むために購入。『東日流外三郡誌』については約20ページほどの分量で、真贋論争のエッセンスに触れているのみ。もちろん「以上の諸点からいって、高名な学者が実見した原本というのは、錯覚にすぎないとみて大過なく、所蔵者の筆跡と酷似した現行本以外の『東日流外三郡誌』が存在した余地は皆無と断定して差し支えないと考えられる」と明言。NHK初めマスコミや岡本太郎までが持ち上げた『東日流外三郡誌』は昭和・平成の一大偽書事件であることが既に確定している。

ちばっち

3
本書に限らず紙面の都合上全てを書く訳にはいかないので詳しくは誰々の◯◯説に譲ると書かれる事が多いですがそれらを読んでないのでへぇ~と思うしかない事が多く残念です。そして魔法の言葉「言説のキャッチボール」。それを出されちゃうと…と思わなくもないです。しかし偽書が発生するメカニズムについては興味深かったです。自分の知識不足や真偽の水掛け論やそれでも人を惹き付ける偽書やそのメカニズムなど面白さ・モヤモヤ・イライラがごっちゃになって感想を書くのが難しいです。2019/05/25

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