内容説明
日本に近代医学を伝えた医学者としてのシーボルト。禁制の地図を持ち出そうとした、いわゆる「シーボルト事件」で永久国外追放処分を受けたシーボルト―。だが、植物学者としてのシーボルトを知らずして、その大きな実像は見えてこない。ユリ、ツバキからレンギョウまで数多くの日本植物を、植物相の低いヨーロッパに持ち帰り、それを広めた功績、先見性は、二十一世紀に入った今日、その輝きを増している。多面的に描く全く新しいシーボルト像。
目次
第1部 特別な使命をおびた人物、シーボルト(オランダの消滅と復活;シーボルトの生い立ちを追う ほか)
第2部 日本研究者としてのシーボルト(事前の勉強は役に立ったか;コレクションは科学に欠かせない ほか)
第3部 シーボルトを魅了した日本の植物(帰国後のシーボルト;『フロラ・ヤポニカ』の出版)
第4部 知られざる園芸家としてのシーボルト(園芸の台頭;日本の植物、海を渡る)
第5部 シーボルトが導入した日本の植物(アジサイ;レンギョウ ほか)
著者等紹介
大場秀章[オオバヒデアキ]
1943年、東京都生まれ。理学博士。専門は植物分類学。ボタニカルアートにも造詣が深い。現在、東京大学総合研究博物館教授。88年に中国コンロン山脈周辺の総合科学調査に参加したのを始め、ヒマラヤなどの植物相のフィールドワークを続けている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。