出版社内容情報
「死ぬまでキツネ目を忘れられん……」。重い口を開いた３００人の捜査員の証言と、放送されなかった「２７年ぶりに浮かぶ真犯人像」｡
内容説明
「Ｆや！キツネ目の男がおる、職質させてくれ！」大反響のＮＨＫスペシャル単行本化。史上初の劇場型犯罪に挑んだ刑事たちのドキュメント。
目次
第１章 目撃者たちの告白（初動捜査のつまずき；兵庫県警―江崎グリコ社長誘拐事件；大阪府警―事情聴取と「不信」）
第２章 かい人２１面相と三つの現場（犯人に最も肉薄した瞬間―焼肉「大同門」の夜；キツネ目の男あらわる―丸大食品脅迫事件；最後のチャンス―ハウス食品脅迫事件；滋賀県警、知られざる極秘捜査）
第３章 時効のその日まで（拡散する捜査―「Ｂ作戦」の真相；似顔絵捜査―キツネ目の男を追って；ブツ捜査―科学捜査の限界；微物捜査―時効さえなければ；捜査幹部はこう語る―藤原享・元警察庁捜査一課長「失敗に学ぶ」・四方修・元大阪府警本部長の「反論」）
第４章 犯人は誰なのか？（２７年ぶりに浮かぶ犯人像―音声テープ最新分析；壊れた警察の「見立て」；なぜ未解決に終わったのか）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
101
次男のｵｽｽﾒ本。もう30年になるんですね。あの｢ｷﾂﾈ目の男｣の似顔絵は今でもちょっと怖いです。そのｷﾂﾈ目の男に職質を掛けずに終わった事、今でも評価が分かれているんですね。何度か逮捕の寸前までいきながら、未解決に終わってしまったのは、当時の科学捜査の限界、府警･県警の縄張り意識、警察組織の構造、色々な要因があるんだなあ。最新の音響調査で、脅迫電話には3人の子供が関わっているとの結果には鳥肌が…巻末の脅迫文の一覧にも得体の知れない不気味さを感じました。2014/03/19
そのぼん
49
実際に起こった事件のドキュメントなので、気になって手に取りました。図書館でですが。当時のことは幼かったので覚えていなかったのですが、読んでいて改めて規模の大きな事件で世間を震撼させた事件だったと実感しました。グリコと森永だけでなく、丸大とかハウス食品、不二家、駿河屋なんかも脅迫されてたんですね。最後の年表が、分かりやすく書いてありました。犯人は現在、どうしているんでしょうか。2013/01/31
壱萬弐仟縁
42
脅迫状を見ると、日本人らしい日本語ではなく、助詞の へ が え になっているのでおかしいので、北朝鮮の人？（73頁～）関西弁使っているのが不気味である。かい人２１面相 とある。江崎グリコの次に、標的は丸大食品に変わったようだ（120頁～）。とっくに忘れていた。さらに、ハウス食品もターゲットに(151頁）。だから、事件名に惑わされず、多くの企業が標的だったことを今更ながら思い出そう。容疑者は2度も現場に現れた（164頁）。179頁のイラストは公開されなかった後悔がある。 2015/04/06
Willie the Wildcat
40
未解決事件が残すもの。経済的、心理的、そして技術的変化。Lessons Learnedを如何に活かすかが求められる中、司法における総括とは何かを問う。当時の方針の是非ではない。加えて、縦割り組織などは警察機構に限ったことでもない。技術・社会面での環境激変の現代、検挙・有罪判決のみを警察に求めるのも酷。記載の”一課長レク”に垣間見れる、「馴れ合い文化」のような”本質”の問題に焦点を置いた議論が必要な気がする。2015/03/28
AICHAN
37
図書館本。1984年、江崎グリコ社長が拉致された。「グリコ・森永事件」の始まりである。犯人は未だに捕まっていない。2011年、NHKは『NHKスペシャル』でこの未解決事件を扱った。この本は、その『NHKスペ』の内容に、テレビでは放映できなかった資料等を加えて再構築されたものである。昨今のNHKは安倍政権べったりでジャーナリズムから外れているが、こういう仕事もしているのは嬉しい。ただ、「勘付く」を「感付く」と書くのはNHKとしてはどうかと思った。間違いではないが、NHKなら本来の「勘付く」を使ってほしかった2017/06/27
