出版社内容情報
開戦と敗戦の両時に台閣に連なった外相。冷徹な外交官、優しい家庭人、真の国際人としての姿を、ワシントンポスト記者の孫が綴る
内容説明
時代の狂気に抗した運命の外務大臣の一生を、ワシントン・ポスト記者の孫が門外不出の資料を駆使して描く。
目次
第1章 生い立ちから青年期まで
第2章 外交官・家庭人の形成
第3章 参事官・局長時代
第4章 駐独・駐ソ特命全権大使
第5章 開戦内閣の外相
第6章 終戦内閣の外相
第7章 極東国際軍事裁判
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こまったまこ
5
本書は開戦・終戦時の外相東郷茂徳の生涯を孫の茂彦氏が生い立ちから満州、第一次世界大戦後のドイツ、ソ連、開戦前の日本、終戦前後の日本、東京裁判、結審後から亡くなるまで、と順に追ったもの。東郷茂徳関連の膨大な資料、200人近いインタビュー、納戸の奥に忘れ去られていた貴重な資料などを駆使して丹念に描かれている。各時代毎に東郷茂徳の公的な活動を詳細に述べた後に同時期の彼の私生活の記述もあり、長い本だが飽きさせない。孫の強みで家族の証言が多数あり「頑固で強情」な東郷茂徳像が「家族想いの温かみのある」人物に変化した。2016/07/26
ずしょのかみ
2
東郷茂徳は文学部ドイツ文学科の出身であり、法学部出身の多い外交官の中では異例の存在であった。シラーなどを好んだ。苦悩したときに、ゲーテの詩を読むところなど、文学者的な性格に印象を受けた。2019/06/23