闇の男―野坂参三の百年

闇の男―野坂参三の百年

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163479804
  • NDC分類 289
  • Cコード C0031

出版社内容情報

「愛される共産党」のヒーローは秘密警察の手先だった。彼が刑場や強制収容所に送りこんだ人々の運命は…。世界初公開の資料収録

内容説明

何人もの同志を処刑台や収容所に送った男、野坂参三は何重のスパイだったのか。気鋭のジャーナリストたちがついに百年の闇を暴いた。

目次

序章 百歳の野坂参三
第1章 売られた男山本懸蔵
第2章 望郷の女関マツ
第3章 朝鮮人クィフ
第4章 粛清された日本人と助かった「妻」
第5章 NKVDのアジェンタ
第6章 暴かれた粛清計画
解説座談会 野坂参三は何重スパイだったのか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

97
第25回(1994年) 大宅壮一ノンフィクション賞受賞 日本共産党のドンとも言える 野坂参三の闇の部分にメスを 入れた労作。名誉議長 として悠々自適の隠居生活を 送るはずだった92年、突如解任され 除名処分にまで至った裏には何が あったのか。同志が同志を売る スターリンによる粛清の嵐が 吹き荒れていた時代、野坂は 同志の山本懸蔵を本当に売ったのか。 豊富な取材・資料をもとに、戦中の 闇を現代に浮かび上がらせている。 平和な時代に生きる我々には 想像もできない歴史の重みが 本書にはある。2013/10/06

harass

51
日本共産党の重鎮で名誉議長であった野坂参三は、ちょうど100歳になった1992年に、党から除名された。裏切りの記録がソ連崩壊で流出し、その年の週刊文春が取材したのが原因だった。その文春の連載記事を元にした本。スターリン粛清の時期にロシアにいた野坂は生き残る。秘密警察に密告、仲間を売り忠誠を示すことで…… この本では野坂は最大5重スパイの可能性を示唆している。戦中戦後のいろいろな局面で場当たり的な処世術を駆使していたらしい。実態は本人が死去したために不明。日本共産党もだんまりなまま。なんという小説的な事実。2017/04/26

姉勤

25
日本共産党最高名誉顧問に座し、そして除名された男のレポート。この世の地獄ともいうべきスターリン時代のソ連で生き延び、帰国したのち100歳の長寿を誇る。祭り上げられ国会議員にもなった、その階級を得るための選択。ソ連崩壊で公開された秘密文書を元に美辞で語られた自伝には載せられない、除名に価する裏切りとスパイ行為の憶測と状況証拠。個人的に言えば、実に彼ららしい。もっとも卑怯なものを糾弾する卑怯者たち。 2022/01/23

ステビア

16
まさに闇の男。このような男を頂点に置いていたことはまさに日共の汚点であろう。この本が書かれたあと、野坂についてどの程度真相の解明が進んだのか知りたい。2020/09/01

BLACK無糖好き

16
かつての日本共産党名誉議長 野坂参三の闇の部分を照射。日本の官憲、ソ連赤軍、NKVD、ゾルゲ機関、コミンテルン、米軍と、これら全ての重複スパイだった可能性もあるという。何とも言えない薄気味悪さが漂うが、場当たり的に保身を図って生き延びてきたのが実態かもしれない。山懸の逮捕・処刑で、野坂の疑惑が浮かび上がった後も宮本顕治ら日共指導部は野坂の恥部に目をつぶり、逆に野坂を利用してきた側面もあったようだ。1941年に野坂がコミンテルン指導部宛に延安から送付した手紙からみられる当時の活動状況は大いに目を引く。 2017/03/07

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