「天皇」の原理

「天皇」の原理

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  • サイズ B6判/ページ数 316p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163477107
  • NDC分類 288.41
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「天皇」は善政を施すが故に絶対なのではない。徳あるが故に絶対なのではない。天皇の超道徳性が天皇を論理的に絶対化するのだ

内容説明

モーセ、キリスト、釈迦、マホメットとの対比から導き出された、日本に於ける「法」の不在と、「天皇」の圧倒的存在。いまこそ問う、「天皇」の本質。

目次

第1章 神に約束された国々
第2章 個人救済と集団救済
第3章 予定説と因果律
第4章 救われる者と救われざる者
第5章 キリストによる恩恵
第6章 日本における「法の不在」
第7章 天皇と日本
第8章 死と復活の原理

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とまと

16
ここ一ヶ月ほどの疑問のうちの一つが解決した。日本は土地を与えられて以来ずっと予定説で来ていたけど、承久の乱、すなわち泰時に対する義時の反論、そして政子の演説以来、因果律へと変わり、武士の世が来た。その後徳川幕府によって天皇権力は最低にまで下げられたが、闇斎の学問により復活した、という論旨。予定説と因果律について説くため、大半を他の宗教(ユダヤ教、キリスト教、仏教等)に割く。小室先生の本は2冊目なので、割とすらすらと読めた。2014/01/24

yamamiki

5
日本人とは? また日本にとっての天皇とはどのような存在なのか?結局のところ、現存する世界唯一の神話から続く万世一系の天皇を抱く国、この国に生まれ住む人民、これが日本人である、そして潜在意識のなかでは誰もが天皇に対する尊敬の念を持つ。不思議といえば不思議であるが、これも事実。つまり無意識の中であれ、天皇を本尊とする日本教を奉じる人々、これが日本人なのです。では、日本教とはどういった宗教であるのか?この本は日本教が確立されていく様子とその原理において説明した書となっています。その説明の仕方は他の宗教につい→続2012/10/08

中年サラリーマン

5
天皇について語るのにキリスト教、儒教、イスラム教、仏教、ユダヤ教を経由して語っている。予定説と因果律、集団救済と個人救済、外面的な信仰と内面的な信仰、戒律の有無などいろいろな視点から多面的に語ることでそれぞれの宗教を立体的に浮かび上がらせることに成功している。ではその立体の中で天皇というものはいかなるものなのかを説明しています。さすがな文章でした。2013/05/18

じょに

4
超重要。小室直樹の簡潔な比較宗教学的視点が冴えに冴えている。日本人の「法の不在」問題は、臨済宗-法華宗-浄土真宗と段階を踏んで戒律が廃止されたことに由来する。日本人の正統性の観念について。無条件に正統性を創出することのできた天皇が、善政と言う条件付きで正統性を持つ存在に格下げされたのは源実朝の承久の乱という出来事であった。ここで天皇制イデオロギーは死ぬ。その後の江戸期の幕末に、崎門学徒の浅見絅斎によって天皇イデオロギーは復活させられた。コレは絶版でいいの?2009/04/28

hixxxxki

2
宗教の救済の論理によって、日本の統治の論理を説明している。 ユダヤ教は戒律を守ることで救われる因果律。 キリスト教は救われる者が決まってる予定説。 神道は約束の地を無条件で与える予定説。 仏教は因果律(日本では戒律は廃止され、内面的な信仰となった)。 天皇制は天皇が絶対正しいという予定説。 明恵、泰時は日本は天皇の私有財産という近代絶対主義的な考え方をした。 それが承久の乱で、善政を行う者が正しいという善政主義、因果律に変わった。 承久の乱で死んだ天皇イデオロギーは崎門の学によって復活した。2018/06/20

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