内容説明
いま、あざやかに蘇る日本誕生の物語。詳細な注釈、読みやすい語り言葉で綴られた決定版現代語訳。古事記の原型に近い「語り」を生かした口語体による完訳版。古事記研究の最前線に立った詳細な注釈。古事記の書かれた時代背景の理解に役立つ解説。地名・氏族名解説、神々および天皇の系図、地図など豊富な資料。古事記に登場する動物・植物のイラスト入り。詳細な三種の索引(神・人名、動物・植物名、注釈事項・語彙)付き。
目次
第1部 神代篇(イザナキとイザナミ―兄妹の国土創成;アマテラスとスサノヲ―高天の原の姉と弟;スサノヲとオホナムヂ―文化英雄の登場 ほか)
第2部 人代篇・上(初国知らしし大君―夢に教える神;サホビコとサホビメ―崩壊する兄妹の絆;ヤマトタケルの戦いと恋―天翔ける英雄 ほか)
第3部 人代篇・下(オホサザキをめぐる女たち―苦悩する聖帝;オホサザキの息子たち―渦巻く陰謀;恋を貫く兄と妹―臣下たちの選択 ほか)
著者等紹介
三浦佑之[ミウラスケユキ]
1946年、三重県生まれ。成城大学大学院博士課程修了。現在、千葉大学教授。古代文学、伝承文学研究専攻。現在、ウェブ上で「神話と昔話 三浦佑之宣伝板」を運営し、本書の内容に関わる古代文学・伝承文学関係の論文や資料を公開中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
85
『古事記』は『日本書紀』と比べ、物語性が豊かで、読んで面白く、せっかく読むならいろんな方の手になる『古事記』を愉しみたいと思い、今度、昨年評判になった三浦佑之氏の手になる『古事記』を読むことにしたのだ。 この現代語訳の特徴は、物語の中に語り手であるご老体を登場させて、物語の中で筋の特徴や注意点を最小限入れ込むことで、本文だけで、物語の面白さを感じとれるようにした点だろう。
GaGa
57
桐野氏の「女神記」を読み、改めて「古事記」をきちんと読もうと思ったら、このようなとってもいい本に出会えた。巻末には神々の系図、歴代天皇の系図はもとより、参考地図も掲載されているので、非常にわかりやすい。補足が真下についているのも読みやすくていいです。2012/07/18
RIN
18
イザナギとイザナミの国造り、アマテラスとスサノオのウケヒ、オオクニヌシの国譲り、ヤマトタケルの戦いと苦悩。数多の神話を経て、人代の語りは推古天皇の登場で締め括られる。正直記憶も理解も紗の様に薄いが、自国の産声をこの目で感じることが出来て嬉しい。己の正当性を誇示する為ならば平気で他者を殺し、欲しいと思った女がいれば強引にでも手に入れ子を成す。神として生物としての傲慢な命の営み。それは錆色の美しさ。原始的で力強い、鳴り響く血と大地の鼓動。解説で語られる日本書紀との対比も面白く、丁寧で読みやすい良書だと思う。2022/10/04
kenitirokikuti
8
図書館にて。あっ、三浦佑之は三浦しおんの父か。エッセイ・書評集『古事記学者ノート(コジオタ ノート) ―神話に魅せられて、列島を旅して―』には、こうの史代『ぼおるぺん古事記』も取りげられてるそうな▲三浦氏は中西進に師事したが、吉本隆明『共同幻想論』の影響を受け、民俗・神話寄りになったそうな。記紀に関する本をいろいろ読んでると、文学(国文学、作家、日本哲学、日本思想史)、歴史学、言語学(国語、日本語)の違いが感じられるようになってきた。まぁ、明治以後は武家の時代を打ち消すため奈良時代を持ち上げすぎたんだな2021/07/24
月見里
4
読みやすく訳してくれているのもいいんですが、ツッコミの補入(笑)そうそう、とうなづいてしまいました。2011/06/29