内容説明
健闘むなしく、人類のガース防衛軍はたちまち一蹴され、ここにグーブルーの支配体制が確立された。だが森林地帯に難をのがれた人類とネオ・チンパンジーたちは、この逆境にあって果敢なレジスタンスを開始する。さらに、人類に友好的なティンブリーミーなどの種族も人類に援助の手をさしのべた。原住種族ガースリングの謎や、侵略者グーブルー内部の権力抗争も、この戦いに微妙な影を落とす…風雲急を告げる銀河情勢を背景に手に汗にぎる壮大無比のドラマを一糸みだれぬ筆致で描ききり、見事ヒューゴー賞の栄誉に輝いた話題沸騰のSF巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
123
人類が遠く及ばない技術を持った文明との戦いだが、意外にもローテクな地球人の罠がはまっていくのも楽しい。この物語は、戦う相手の宇宙人は様々な特徴を持っている。何だか生物種同士の争いにも見える。最後のオチもまた面白かった。
わたなべよしお
22
結構、長い物語だけど、読み始めたら止まらない。全体の構成、全編を通じて最後に結実する企みは勿論、個々の場面も文句なく面白い。エンタメとして成功しながら、ちゃんと環境問題というテーマも存在している。続きの「知性化の嵐」に進みたいところだけど、その3部作は3000ページ以上あるし、実家の本棚なので、いつ取りかかれるかなぁ。2021/05/04
鐵太郎
19
列強諸族グーブルーの、つまりは地球人類に対する「新人いじめ」によって惑星ガースは占領され、掃討されます。反撃の方法として地球人たちやネオ・チンプたち、そして列強諸族の一つティンブリーミーは驚天動地なアイディアを思いつきます。かつて生態系が破壊されたはずのこの惑星に、いずれ知性化されたといえる存在になり得る準知的生物がいそうだとのデマをでっち上げ、その裏付けをでっち上げたのです。その結果... 「知性化」と言う概念にうさんくさいものは感じるけれど、これは面白いSFですね。2020/02/28
生存戦略
14
よかった。ずっと読んでいたかったな。筋は異星人の侵略ものにも関わらず、全編、著者の優しさとユーモアに満ちている。世界観もキャラもユニークだし、著者の表現も気取らずさりげなく素晴らしいので、映像として記憶に残る。キャラがアニメ的によく動くんですよね。読んでいて、著者がなぜ『動物の知性化』をモチーフに選んだか不思議だったんですが、ごく短いあとがきを読んで納得。未来はすべての動物に開かれている、ゆえに人間は彼らの進化の可能性を摘み取ってはいけないってことでしょう。壮大で、まさにSFの良さを体現した一冊です。2013/10/24
duzzmundo
10
上下巻で通常の文庫4冊分くらいでしょうか。もうちょっと間引いて、枝葉を減らして簡潔にしたほうがもっとおもしろかったかも。でも楽しく読みました。レジスタンスの戦いは無事に完結しましたが、そもそもの発端のストリーカーの件は片付いておらず、これは続編で描かれるのか? けっこうお腹いっぱいなので、続編はまた時間を置いてから。2022/11/17