出版社内容情報
斧,それは人類悠久の歴史にあって最も長い命を保ち続けた道具.本書は,石斧から鉄斧へ,そして今やチェーンソウにとって替わられてしまった斧を,世界各地の考古・民族資料を駆使して縦横に語りつつ,人間にとって「文明の進歩とは何か」を考える雄篇.
内容説明
人間と斧との深い結びつきの様を人類悠久の歴史の中に探る。「文明の進歩とは何か」を考える“佐原考古学”の成果。
目次
1 生きている石斧
2 鉄斧がやって来た
3 民族例と考古学
4 刃物の変形と使用痕
5 斧の起源、斧との訣別
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rbyawa
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f242、このあとで読んだ本で「打製石器と研磨石器」が効率という点でどれだけ違ったのか、という内容があったんですが、ここで比べられていたのは「石斧と鉄斧」。この作業時間が4倍程度の違いしかなく、鉄器の導入によって生活が劇的に変わったのだ、と信じていた学者たちの夢が破れたよ、という言い方がされていたのですが。まあうん、5分が15分になっても(枝打ち)、1日の建築が3日(家作り)になっても文化を左右するほどの違いはないよね。ただ、石斧とは耐久性が全く違い、所有の概念が変化したという変化はあったそうで、ほほー。2015/12/02
in medio tutissimus ibis.
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(考古学的には)柄がなくても斧。刃が縦でも、鍬みたいに横(英語ではadze、中国語では石+奔)でも斧。後者のが古い。石器時代には斧と鋤と鉈と鶴嘴と包丁と……を一つで兼ねていた様で(むしろ分化したのか)、男が男たるゆえんとして持ち歩く属人器でもあった模様。装飾用の祭りの斧もあって、侍の刀の趣。木材は古くは横斧で両端を抉り楔ではぎ取って板にしていたのは驚き。鉄斧がばら撒かれた結果、シネアでは労働から解放された男が宴会に集い諍いの元になった。一方オーストラリアでは女が借り斧から解放され、男と社会の権威が低下した2020/10/20