UP選書<br> 生と再生 - イニシェーションの宗教的意義

UP選書
生と再生 - イニシェーションの宗教的意義

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  • サイズ B6判/ページ数 279p
  • 商品コード 9784130050753
  • Cコード C1314

出版社内容情報

無限の変化をもち分布する世界の成人式,秘儀結社への加入儀礼,シャーマンの神秘的召命.本書は豊富な証例をふまえ,それに共存・底流する人間の本性をさぐる. 

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Uncle.Tom

19
通過儀礼というものは今ではかなり蔑ろにされてきているものです。あったとしても形骸化されているものであるか、前近代的なものとして僕らの目には映るのでしょう。しかし、1人の個人に目を向けてみれば、これはあながち人にとって無視できないようなものだと言えないでしょうか。人によって訪れる時期は異なるものの、生きていく上では必ずどこかで自身の生存的危機を感じる時期が来ます。その時期は言ってみれば、人間にとっての通過儀礼のようなものだと僕自身は考えているので、本書の内容は個人的に真に迫るものがありました。2019/12/17

ヒダン

12
成人式儀礼と秘儀集団への加入儀礼を宗教学的観点から見て生と再生のモチーフがあることを示す。イニシエーションにおいて、一度死に再び生まれ直すことにより修練者はまったくの「別人」になる。ここにはひとつの状態はまず滅去させられることなしには変更されえないという古代心性がある。成人式儀礼は太古の神話の再現になっている。オーストラリアを中心に多くの例を挙げているが、ややまとまりを欠く。イニシエーション的死により死後の世界に近づくことは智恵を手に入れることであるなどいくつかの象徴が印象に残った。2015/12/19

roughfractus02

5
死が儀式に必須な理由を本書は再生という場面から検討する。すると、成人式で性欲が聖とされるのは、宇宙創生が植物的萌芽や動物的胎生の象徴化に関わり、古いものを一掃し新たなものを生む再生の面を、火を消し火を灯すような儀礼手順に様式化されることが理解できる。著者は、誕生と再生が儀式において同義である点を、超自然者は世界の更新のために人間を殺す(死を与える)神話と人間も超自然者を殺す神話が同時存在する点に着目する。儀式は、超自然者の死を演じつつ、人間自らの死の畏れに対して聖を追体験する形となった、と著者は仮説する。2021/07/17

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