中公文庫
「靖国」という悩み―昭和史の大河を往く〈1〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 245p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122057852
  • NDC分類 175.1
  • Cコード C1121

内容説明

政治や外交の思惑がからみ、近年ますます複雑化する靖国問題の本質とは何か。歴代首相の発言と参拝、土台となる歴史解釈の違い、宮内庁長官のメモに残されたA級戦犯合祀に対する昭和天皇の思いなど、現在の状況を昭和史の枠組みで実証的に検証する。巻末に半藤一利氏との対談「昭和史を再考する」収録。

目次

「靖国」という悩み(「靖国問題」の本質とは何か;「靖国」が発するメッセージ;昭和天皇の「靖国」への思い;遊就館の展示物が示す歴史観;「戦後」が完全に欠落した場所;古賀誠日本遺族会会長の「靖国」への思い;千鳥ヶ淵は国立追悼施設になり得るか;「靖国」と「千鳥ヶ淵」を結ぶ地下水脈;八月十五日の「靖国」鎮霊社の謎;慰霊・哀悼の美名の下での政治運動;謀略史と歪んだ歴史認識で説く「この国」;遊就館の歴史認識が、外部と共鳴し運動化する時;あの戦争はアジア諸国の解放のためだったのか;“富田メモ”から読み解く昭和天皇の「靖国」への怒り;問題は何一つ解決せず、また八月十五日は来る)
真靖国論―小泉史観の大いなる過ち
靖国神社とA級戦犯

著者等紹介

保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年12月、札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。評論家、ノンフイクション作家。出版社勤務を経て著述活動に入る。主に近代史(特に昭和史)の事件、事象、人物に題材を求め、延べ四千人の人々に開き書きを行い、ノンフィクション、評論、評伝などの作品のほか、社会的観点からの医学、医療に関する作品を発表している。現在、個人誌『昭和史講座』を主宰。2004年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

田園の風

8
靖国神社はペリー来航以来、太平洋戦争迄の戦死者266万6千余柱を祀る神社で、明治天皇の発意で建てられたという。昭和53年にA級戦犯が合祀されたが、背景には厚生省引揚援護局の旧軍人や靖国神社総代会の東條内閣元閣僚の圧力があった。彼等の意図はA級戦犯の合祀により東京裁判を否定し、自らの正当性を主張することにあった。作者は歴史修正や政治活動の道具として靖国神社を利用することを強く否定している。東京裁判への批判よりも先の大戦が人類史に恥じないものかとも問うている。作者に共感し、歴史を学ぶ事に意を強くした。2016/08/27

Hiroshi

5
『サンデー毎日』に連載された「昭和史の大河を往く」の「靖国という悩み」と月刊誌『現代』や『世界』に載った「真靖国論」「靖国神社とA級戦犯」に半藤一利との対談「昭和史を再考する」を加えたもの。靖国神社とは一般の神社とは異なり御国の英霊等をお祀りしている神社だ。元々は明治天皇により創建された。天皇が自らの為に命を捨てた臣下の者を祭神として讃え、追悼と慰霊の意を示す場である。明治維新から大東亜戦争までの約246万柱が祀られている。昭和50年以降、この祭神の慰霊に天皇は行かなくなった。A級戦犯が合祀されたからだ。2023/08/24

AnmitsuK (うろ覚えムーミン)

4
8月15日を過ぎ、9月2日を控えたこの時期に再読。ことし2016年の夏はリオ五輪があり、天皇陛下が生前退位の意向を示され、SMAPが解散を発表するなど、大きなニュースが連続し、その陰にかくれ、総理大臣や閣僚の靖国参拝は例年ほど騒がれていない。参拝自体が行われていないのだろうか、あるいは秋以降に参拝するもくろみでいるのだろうか。いずれにせよ、今の自民党に、本書が検証したような問題を解決する能力(あるいは柔軟性)が備わっているとは思えず、またも暗澹たる気分になってしまった。2016/08/19

AnmitsuK (うろ覚えムーミン)

4
一番の「悩み」は、本書のような事実に基づく真面目な論考に触れず、小泉元総理のような「可視史観」、あるいはただ中韓に対する安っぽいショーヴィニズムから参拝を肯定する日本人が、大勢現れていることなんだろうなぁ……。本書で検証されている事実を踏まえた上で、中・韓・米に対し申し訳の立つ参拝のロジックも建てられそうなのに、なぜ政治家たちは「個人的な問題」「英霊への感謝は当然」とバカの一つ覚えで唱え続けるのだろうか。不思議でならない。2013/09/23

hr

3
遊就館の存在は知っていたが、歴史を捏造するかのような説明・展示を行なっているとは知らなかった。本書に書かれていることが事実ならば、こんな恐ろしいことはない。A級戦犯の合祀を進めた宮司は、松平春嶽の孫らしい。複雑な気持ちがする。2013/08/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6522994
  • ご注意事項