内容説明
古代の始皇帝・李斯から近世の雍正帝、近代の汪兆銘まで、中国史を語るのに欠かせない名君・宰相・文人等の生涯を、博学を生かした達意の文章で紹介しつつ、各時代の特質を浮き彫りにした人物伝。
目次
1 大帝と名君(秦の始皇帝;漢の武帝 ほか)
2 乱世の宰相(李斯;馮道と汪兆銘 ほか)
3 資本家と地方官(五代史上の軍閥資本家―特に晋陽李氏の場合;宋江は二人いたか ほか)
4 儒家と文人(孔子;朱子とその書 ほか)
著者等紹介
宮崎市定[ミヤザキイチサダ]
1901(明治34)年、長野県飯山市に生まれる。松本高校を経て、25(大正14)年、京都大学文学部史学科東洋史学専攻卒業。六高教授、三高教授、京都大学文学部教授を歴任。65(昭和40)年、停年退官。京都大学名誉教授。文学博士。専門は中国の社会・経済・制度史。89(平成元)年、文化功労者。95年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
101
宮崎先生のご本はかなりむかしから読んでいて全集も手に入れて読みました。この本はその後に全集に収められていなかった事典などに掲載されていたものをまとめて出されたものです。中国史における有名人の業績や生涯を淡々と語られている気がします。事典に掲載されていてものが殆どなので宮崎さんにしては客観的過ぎる感じがしました。2018/05/08
ひよピパパ
14
宮崎先生が中国史上の名君と宰相について書かれてきたものをまとめたもの。歴史の真髄に迫っていく先生の達意の文章はスゴイ!随筆風のものから論文調のものまで15編を収録する。個人的には、「清の雍正帝」が好き。康煕帝と乾隆帝とに挟まれた時期の名君として知られるが、その果たした役割が熱く語られていて面白い。「李斯」も秦の衰亡を考える上でとても興味深い一篇だ。2019/07/20
ピオリーヌ
12
出版は2011年。宮崎市定全集に含まれなかった文章を礪波氏が採録。4頁の「康熙帝」から79頁の「張溥とその時代―明末における一郷紳の生涯」まで分量も執筆時期も多種多様な内容。明末の絶望的な状況が描かれる上記「張溥」論文、宮崎の卒業論文の題目であったという「南宋末の宰相賈似道」がそのボリュームもあり印象深い。楽しく読める一冊。2022/01/07
BIN
9
題名の名君と宰相については最初の100ページだけで残りは資本家や地方官、儒家などでした。評判の悪い煬帝や賈似道(李斯もか)については弁護している感じで良かった。水滸伝で有名な宋江という人物が同時代に二人いた?というのは説得力があり、面白い。ここでは雍正帝もほんの少しだけ触れてるだけだが興味深い人物。本は読んでみたい。それ以外は興味のない時代や内容でもあり、小論といった感じなので若干読みにくかった。2018/04/24
midorikawa-e
6
五代というややこしい時代を背景にした晋陽李氏についてと、個人的に興味のある馮道についての章が面白かった。水滸伝の宗江のくだりでは、高島俊男氏の文章を読み返したくなった。清の雍正帝は、まさにこの著者が正面から取り上げておられる『雍正帝』(中公文庫)がお奨めです。2014/05/23