出版社内容情報
ペリー来航の圧力の前に風雲急を告げる幕末。開国とともに、激しくゆれる幕藩体制。尊王か佐幕か、抗争渦まく変革期の人間群像をいきいきと描く。〈解説〉熊沢徹
内容説明
ペリーの来航をはじめとして、開国を迫る欧米列国を前に、開国か攘夷かをめぐって国論は激しく揺れ動き、尊王・佐幕入り乱れる渦中で、幕府体制はついに崩壊する。明治新政府成立までわずか十五年、異様な熱気をはらみながら、時代はめまぐるしく変転する。
目次
東アジアに警鐘は鳴る
押しつけられた和親条約
貿易をせまるハリス
井伊直弼の登場
安政の大獄と桜田門外の変
サムライ海を渡る
異国人との商売
皇妹和宮と公武合体
尊王攘夷の旗のもとに
将軍攘夷を誓う
外国と戦ってみれば
八・一八クーデター
新撰組まかり通る
第一次長州征伐と倒幕派の成長
薩長同盟とイギリスへの接近
第二次長州征伐とフランスに頼る幕府
将軍徳川慶喜
討幕か大政奉還か
著者等紹介
小西四郎[コニシシロウ]
1912年(明治45)、姫路市生まれ。35年(昭和10)、東京帝国大学文学部国史学科卒業。文部省維新史料編纂事務局に入局、48年(昭和23)より東京大学史料編纂所所員。51年(昭和26)、服部之総らとともに日本近代史研究会を結成、「画報近代百年史」などの刊行にあたった。73年(昭和48)、東大教授を退官。96年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
77
この時代になると読んでいるほうでもかなりの知識がついていて、非常に読みやすさを感じます。様々な時代小説やドラマになっているところもありますが、小西先生の意図するところはかなり細かいところまで書かれています。経済的な状況を書かれているところがよくわかり参考になりました。2015/10/10
優希
46
ペリーが来航してから大政奉還までの歴史が語られます。わずか15年間の歴史でありながら、様々なことが起こり、濃密な時代であったと思いました。だからこそ自分は幕末に惹かれ、面白いと思うのでしょうね。2022/06/09
柏もち
8
これ一冊がほぼ十五年間で起った事を纏めたもの…濃いな。世界的強国による介入への対応、進んだ異文化の流入への対応、という点で個人的に非常に歴史的に興味深い時代だと思っていたので、本書を読んで満足。綺麗に纏まっていて分かりやすかった。初めから尊皇攘夷=倒幕の思想があったわけではなく、尊王、攘夷、敬幕、倒幕が様々に結びついた諸派があったこと、民衆が政治的に果たした役割についての二点が印象に残った。個人的には経済が一番興味惹かれた。また様々な人の残した日記的資料が多くて読みごたえがあった。2016/05/24
訪問者
5
中央公論社の『世界の歴史』を読みながら、『日本の歴史』も是非読みたいと考えていたが、この度、中公文庫にて読み始める。歴史の通史としては『1 神話から歴史へ』から読むのが本当なのだろうが少しハードルが高いので、近世の『12 天下一統』からと少し迷ったが、まずは一番興味深い幕末の開国、明治維新へと続く近代の本書から取り組むこととした。2023/01/26
あしお
5
歴史ドラマなどでよく観る分野なので、さすがに大まかな流れは頭に入っている。とはいえペリー来航から大政奉還まで15年。実に濃厚な時代だったと思う。 改めてここまでの数巻を思い出すと、現代では当たり前の「法による支配」とか「法の不遡及」の原則が江戸時代にはないことの重大さに気がつく。 外国人の排斥=攘夷は鎖国日本独特の現象だと中学の時教わった気がするが、現代世界を見渡せば割と普通かも知れない。 西欧だと薩摩長州的な国はそのまま、独立しそうなんだけど、そうはならないのも日本独特の現象かも。2020/10/19