内容説明
東洋全域に共有される中国の文化・社会を、世界史的な立場からヨーロッパ、西アジアと対比して雄大な構想に立つ古代史の概観を考察、また司馬遷『史記』の叙述法を歴史学的に考証し、都市国家の存在を指摘、中国古代市民生活の特色を描く名篇等、さらに二つの研究回顧録を収録する。
目次
中国古代史概論
東洋的古代
史記貨殖伝物価考証
身振りと文学―史記成立についての一試論
史記李斯列伝を読む
史記伯夷列伝第一（新訳）
私の中国古代史研究歴
中国制度史の研究
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
1
再読。宮崎先生の中国古代論に見せかけて、実は歴史学方法論。広く他地域他文化と比較し、それぞれの個性を問題意識とすべし。資料と向き合う際に問われるのは資料の性質以上に人間としての研究者個人であと知るべし。学説は相対的であり便宜的であり、絶えず出発点に戻って検討すべし。など、先生の基本的なスタンスは、歴史を作るのはあくまでもバラバラな人であり、学説はその営みを縁取ったものに過ぎないという帰納的なものであり、それは当然学問という営みにも適応されるというもので、今でも科学方法論として切実さを失わないものです。2017/09/24
MAT-TUN
1
宮崎先生の難しいことを易しくわかりやすく書く筆力には毎度びっくり。神話時代から漢帝国の瓦解までを古代と捉える（従って三国志の時代は中世の始まり）筆者の主張はよく理解できた。西洋の都市国家との比較など、興味深いことこの上なし。2011/06/27
MIRACLE
0
筆者が古代中国の制度、文学、研究歴について述べた8編の論考を収録した論文集。2017/03/02
