内容説明
経済により「国民統合を実現」させたといわれる池田勇人が、「経済の池田」という自信を得る背景となった吉田内閣時の蔵相経験―それに基づいて本書は生まれた。敗戦の苦難をなめたわが国が復興してゆく過程を述べ、財政経済についての経論を語った池田の証言は、日本経済の将来までを展望しその慧眼が随所で光る。ドッジやシャウプとの交渉等を回想して圧巻の「占領下三年のおもいで」を付す。
目次
安定から復興へのあしどり
日本経済をどう運営するか
国家予算をどう組むか
租税政策をどう考えるか
金融などの諸問題
日本経済はどうなるか
附・占領下三年のおもいで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
22
所得倍増計画を打ち出した池田勇人首相。大蔵省出身で、財政政策に詳しく。占領下から朝鮮戦争時の特需まで貴重な話が続く。題名を読んだとき、正直今の均衡財政を想像して読みたくなかったが、実際読んでみるとインフレ時とデフレ時の財政政策に対して、実にケインズ的な考えをしていて、もし資産の蓄積され、投資が微弱な日本を見たらどう思うだろうかと思った。日本の国力を高めるためにどういう経済政策が良いのか、具体的な数字を羅列しながら平易な言葉で説明し、実務家らしいと思った。本当に一読の価値あり。平和主義すぎるのが残念。2016/12/10