出版社内容情報
同時代人たる平安貴族の日記を手がかりに、神秘に彩られた陰陽師たちの具体的な活動を解明する。
内容説明
古くから説話や伝説に彩られてきた陰陽師。近年では小説や映画にも登場し、呪術により凄まじい力を発揮する。世界を滅ぼしかねない超人として描かれることも少なくない。では実在の陰陽師たちはいかなる活動に従事していたのか。安倍晴明らが絶大な名声を博したのはなぜか。藤原道長ら同時代の王朝貴族が残した日記を手がかりに、知られざる実像に迫る。さらには、陰陽師を必要とした平安時代の人々の心性をも明らかにする。
目次
第1章 官人陰陽師と法師陰陽師
第2章 怪異を読む
第3章 禁忌を告げる
第4章 災厄を除く
第5章 生命を狙う
第6章 安倍晴明と蘆屋道満
著者等紹介
繁田信一[シゲタシンイチ]
1968年(昭和43年)、東京に生まれる。東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科博士後期課程修了。博士(歴史民俗資料学)。現在、神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員、同大学外国語学部非常勤講師。専攻、歴史民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文吾
8
★★★★/図書館本。先日読んだ『帝都物語』で蘆屋道満が晴明のライバルだったと知って興味が出たので読んでみた。空想話ではなく現実の道満を知りたかったのですが、あまり資料は残ってないようです。なので多くが仮定で、道満に関する事は数ページしかない。入門書として、当時の陰陽師の活動や陰陽道を軽く知るにはいいと思う。2016/05/17
二笑亭
7
貴族たちの日記から陰陽師の実像に迫る1冊。陰陽師とは宗教者ではなく当時最先端の技術者であり官僚で、伝説や小説にあるような式神を飛ばして妖怪と戦ったりはしない。実際には疫病退散を祈り禊祓をする、星を見て行事の日どりを決める等が主な仕事。後者は現代でいえば結婚式を大安の日に行うみたいな感じだろう。霊的なものが信じられていた時代の話なので、陰陽師の実像も現代人には迷信的・宗教的なものに映るかもしれないが。平安貴族が犬のフンを凶兆ではと考えていたというのが面白かった。2022/09/22
記憶喪失した男
7
安倍晴明関係の著書に詳しく、どの記述がどの時代のどの本に書いてあったかを示してくれるので、とても助かる。2019/10/19
カゲツナ
3
興味深い話を知ることができてよかった。2014/06/17
このえ
2
フィクションでの安倍晴明の描かれ方のイメージが強いせいでどこまでが史実でどこまでが後世の説話などの創作なのだろう…と常々思っていたのですが平安時代当時の評価と後世で付随されていったイメージ部分とがわかりやすくてよかったです。しかしそうなると宇治拾遺物語や安倍晴明物語などの出典元でどんなふうに書かれているのかとても気になる…2021/02/25
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