中公新書
イヌイット―「極北の狩猟民」のいま

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121018229
  • NDC分類 389.5
  • Cコード C1239

出版社内容情報

極北の人々と自然に魅せられた著者が、イヌイットの歴史や文化、そして彼らの現実の姿を丁寧に紹介する。

内容説明

私たちが思い描くイヌイットとは、アザラシの毛皮に身を包み、雪の家に暮らす極北の狩猟民の姿であろう。しかし、現在のイヌイット社会は、外部世界との交流によって驚くべき変化を遂げている。本書は、極北の人々と自然に魅せられた著者が、イヌイットの歴史や文化、そして生活を丹念に辿り、彼らの現実の姿を記したものである。彼らの社会が抱える問題や深刻な環境問題をも浮き彫りにし、新しいイヌイット像を提示する。

目次

第1章 自然環境と歴史(極北の人々と自然;イヌイット文化の歴史と現状 ほか)
第2章 極北に生きる(村とキャンプ;二つの経済―狩猟・漁撈活動と賃金労働 ほか)
第3章 都市イヌイット(村を出るイヌイット;都市イヌイットの生活 ほか)
第4章 深刻な環境問題(極北地域の大自然が危ない;食料資源問題 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoneyama

8
著者は国立民族学博物館教授1980年代と2005年出版時との比較などで、イヌイットの民俗、社会の変化、置かれた状況などを概説する。主にケベック州北部ハドソン湾岸ヌナヴィク地域のアクリヴィク村の話。3週間後に帰る予定だというと、どうして3週間先の事がわかるんだ?と驚かれた80年代の話。狩猟や漁撈は続いているがスノーモービルとライフルを使い現金が要る。獲物は換金できない。カロリーの6割は南からのものだが4割の獲物の分配は文化的社会的に重要なままだ。狩りはほぼ日帰りらしく、イグルーの記述はなかった。2023/04/27

Y.Yokota

4
2005年の本ですが、狩猟などの彼らの伝統、そして近代化による生活の変化を概ね知る事が出来ました。先住民の方々が持っている伝統的な思考、ここでは"循環"などが出てきますが、現代的思考では一見荒唐無稽と思えるような事に、他の人はわかりませんが、少なくとも自分は救われているような気がします。おそらく、イヌイットに限らず先住民の方々が直面する困難と、自分の考える人間社会の抱える矛盾のようなものなどが、どこかで繋がっているか少なくとも似ているのかも知れない、とか最近は考えてます。2020/11/07

wei xian tiang

3
ゴムのように堅いイルカ脂肪(マッタック)の生食,セイウチ肉の発酵食など独特の食文化に興味をそそられる一方で,「都市イヌイット」の章はやはり都市に流入し下層民化,ホームレス化する状況が描かれ暗澹たる気持ちになる。都市イヌイットまで総体的に研究対象としてきた筆者ならでは。2019/01/25

takao

2
ふむ2022/10/25

オタダオ

2
20年かけて現地でこつこつとカナダ・イヌイットの調査を続け、人々と交流しながら得た貴重な記録。 このような文化人類学的な本を読むと、失われつつある独自文化に対して第三者である自分はある程度感傷的な気分になるが、日本だって昔からの文化をいっぱい捨ててきたのだ。相手に対して「自分は相手にこうあって欲しい」と感じることはまことに自分勝手であるといわざるを得ない。筆者は淡々とイヌイットの生活の変化と現状を語る。暖かい視線ではあるがつねに客観的であり、イヌイットについて知る上での良書となっている。2012/08/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/219134
  • ご注意事項