中公新書<br> 労働政治―戦後政治のなかの労働組合

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労働政治―戦後政治のなかの労働組合

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  • サイズ 新書判/ページ数 271p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017970
  • NDC分類 366.621
  • Cコード C1230

内容説明

労働政治とは、労働者の利益が政治の世界で実現されるプロセスを意味する。日本の労働組合は、利益実現に際して経済合理性を有する路線を取ることで戦後の成長と安定に大きく貢献し、一九八九年には連合の結成によって悲願の「統一と団結」を実現した。しかしその後、その存在感は薄くなり、連合自体にも行政改革・構造改革への積極性が見えない。歴史を遡り、労働者と政治の関係を利益団体政治の視角から検証する。

目次

1 労働組合が経済合理性を持つとき(利益団体としての労働組合;政治経済と労働組合)
2 連合誕生の光と影(改革の九〇年代;団体リーダーの見た労働政治)
3 戦後史のなかの労働組合(「統一と団結」を求めて―一九四五~六〇年代;第一次労働戦線統一運動の挫折―一九七〇年代1;民間労働組合の覇権―一九七〇年代2;中曽根行政改革と連合の誕生―一九八〇年代;利益団体政治と労働政治)

著者等紹介

久米郁男[クメイクオ]
1957年(昭和32年)、滋賀県に生まれる。京都大学法学部卒業、コーネル大学大学院博士課程修了。神戸大学助教授、同大学院法学研究科教授を経て、早稲田大学教授。政治学専攻。Ph.D(政治学)
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感想・レビュー

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Francis

16
戦後日本の労働運動について利益団体として労働組合はどのような活動を行ってきたのかを考察。政治闘争を重視する官公労系労組と賃金引き上げなど経済条件の改善を重視する民間労組の路線の違い、そして日本の労働組合関係者が彼岸としてきた統一ナショナルセンター、連合がどうして結成後政治的影響力を発揮できなかったかが良く分かる。戦後の労働運動に関しては総評シンパの著者の資料を読むことが多かったので著者のような視点からの考察はとても新線だった。2018/10/02

5
労働組合を利益団体の一つと見る理論の整理と、20世紀日本の労働政治史。「労働政策の政治化」の議論など、とても勉強になったが、企業別労働組合に内在する特性(もっと言えば困難)への注目があまりないことと、筆者が特殊個別的利益に対置(そして良しと)する「経済合理主義的な路線」の意味がやや不明確であることが気になった。 【メモ】脱組織化が進む中で、いかに人々を組織化し、政治参加、さらには格差是正などにつなげていけるか?それとも組織化という選択肢自体が誤りか?また、労働環境への国家規制を求めるという戦略は自明か?2021/08/11

sk

5
利益団体の一つとしての労働組合の政治との関わりを詳論した読みごたえのある本。2019/11/08

羽生沢

4
戦後日本の労働組合を、利益団体理論を用いて分析している。研究の過程で見えてきた左翼系労組の非合理主義に久米先生は呆れてしまったのかなと、読みながら考えていた。2015/05/21

spanasu

3
戦後の労働組合をよく描いている。80年代には中曽根行革に協力する民間労組がいたように経済合理主義的な方針をとる労組もあったが、連合が結成されるにあたって左派的な政治主義と経済合理主義との路線対立が存在はしていたなかで、統一を最大目的としていたゆえに共産党系の排除が達成された際に路線を決めることがなく、経済合理主義的な方針を失ったとする。2020/07/12

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