中公新書<br> 中華民国―賢人支配の善政主義

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中公新書
中華民国―賢人支配の善政主義

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  • サイズ 新書判/ページ数 305p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121013941
  • NDC分類 222.07
  • Cコード C1222

内容説明

中華民国史は1911年の辛亥革命による清朝崩壊・共和国の誕生から、49年の共産党革命による南京政府瓦解まで40年に満たない激動の歴史である。一貫して中国政治を拘束しているのは、選ばれた有能なエリートが統治能力のない無能な大衆に代わり、高度な統治技術で政治を独占する「賢人支配の善政主義」の体質である。本書はこの観点から、中華民国史に登場した多様な政治勢力や政治理念・国家理念を、具体的に検証する。

目次

第1章 中華民国の誕生
第2章 群雄割拠と軍閥混戦
第3章 国民革命への道
第4章 南京政府と日本軍の侵略
第5章 国民党から共産党へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マカロニ マカロン

11
個人の感想です:B+。『流』(東山彰良)を読んで、国共内戦、蒋介石総統に興味を惹かれたので読んでみた。孫中山(孫文)が辛亥革命以降主導した国民党ではその名に反して、国民の政治意識を信じない「愚民観」で賢人による専制(軍事独裁)必要論だった。軍閥袁世凱や戦後大陸を支配した共産党にもこの「以党治国」の精神は受け継がれていく。戦中と終戦直後は米国は以外にも共産党を容認し、逆にソ連(スターリン)は国民党政府を正統政府と認めていた。そして、現在に至るまで、中国では民主的な国政選挙が行われていないということに同情する2021/09/18

印度 洋一郎

8
辛亥革命後の中国国民党の政治イデオロギーの推移を中心に、中国伝統の優れた知性を持つエリートが蒙昧な大衆を善導する「賢人支配」の通底を見る。「三民主義」の孫文(文中では孫中山)も「政治意識が低い中国人に政治参加は無理」という愚民観を持ち、西洋流民主主義は混乱をもたらすと批判的だった。その愚民観は、後を継いで国民党を指導する蒋介石、その国民党から政権を奪取した共産党の指導者である毛沢東にも共通する。民衆を政治参加させない体制は現在の中国にも受け継がれている。そして、国民党内のイデオロギー論争史も興味深い2021/10/13

ろーじゃ

5
辛亥革命で中華民国が成立してから、蒋介石が台湾に避難するまでの通史本です。この本の良い点は、大衆の動きに注目する従来の「革命史観」を退け、史料批判を原点とした記述がなされている点です。孫文・蒋介石・毛沢東・辛亥革命と、非常に政治的で時にはデリケートな扱いが求められ、なかなか客観的に記す事のできなかった人物達の考察を、多角的かつ鮮明に描けている点が素晴らしかったです。 軍閥が跋扈し内乱に明け暮れた「革命に失敗した遅れた時代」とみなされがちな中華民国像を描き治せる良い本でした。2015/02/17

可兒

3
独立期のアメリカもそうだが、革命家って基本的に民衆を信用しないんだね2014/03/26

よし

3
「中華民国」という題名だか、中華民国という枠を超えた「中国」の民族性と政体(人治主義=賢人支配の善政主義)の親和性について深く洞察されていると思う。人民を基本、衆愚であると捉え、一部の知識人が主導する体制こそが馴染みやすい、という考えを孫文までもが持っていたということに驚いた。また国共開戦時には圧倒的だった国民党がなぜ敗北したのか?この本を読むとそれも必然だったかのように思えてくる。2014/01/04

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