内容説明
近代日本は精神的には西洋崇拝、国内的には資本主義化、対外的には脱亜の道を歩んだ。しかし、第一次世界大戦後、従来の支配体制に対して変革志向を持つ集団、革新派が次々と誕生した。大川周明の猶存社もその一つである。大川周明は「復古革新派」として近代日本の西洋化に真正面から対決し、精神面では日本主義、内政面では社会主義あるいは統制経済、外交面ではアジア主義を唱道した。大川の生涯と思想を三つの視角から描く。
目次
序章 日本ファシズムと大川周明
第１章 若き社会主義者
第２章 人生の転機
第３章 アジア復興と国内改造
第４章 破局への道
第５章 東京裁判以後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
河織吾郷
12
細面な輪郭と高鼻にのる瓶底眼鏡が際立つ肖像には、誰もが奇妙な感興をそそられる。彼ほど誤解されている一級の思想家は類を見ないだろう。あの大舞台での奇怪な振る舞いは運命の喜劇であって、実の所である悲劇そのものは、｢戦後日本の精神的独立の喪失(p.194)」であったに違いない。而してその悲劇はのべつ幕無しに続いており、悲しい哉、最早これまでの感も否めない。この精神的隘路のおいて、かの復古革新主義を再吟味することは賽の河原で石を積むが如くか。旭日と落日との日本に生きた彼の目には、今日の我らがどう映るのか知りたい。2015/09/06
悸村成一
1
東京裁判での発狂に疑念（佯狂?）を持ち読んでみた。戦前の大アジア主義-右翼思想は時代錯誤で色褪せてみえる。Korean は国事行為を委任しない。発狂後のメモに「ゴドー」(p.185)の文字、大蛇だったりして。図書館本。 212014/02/03
せんこーくーら
1
大川は天皇崇拝のみならず、アジア主義と社会主義への深い理解があったとしている。また「国体の本義」のような忠君愛国的発想には批判的で、天皇制に普遍性を見出し、「大御宝」の下での平等・自由を目指した。一面的な大川理解への問題提起はともかく、日中戦争以降の大川の活動には弁護に無理がないかとも思ったのだが。たんに第三世界への関与なら、軍もいろいろ工作を行っているわけだし。アイヌとかアジア主義も結局「なら、天皇出す必要あんの？」で終わる気もしなくはない。2013/01/20
ふじ
1
張作霖爆殺のあと張学良と直談判したり、対米戦の直前にアメリカの石油をバーター取引で大量に輸入しようとしている。いずれの工作も残念ながら成功しなかった。大川宛の張学良書簡が写真でのっている。字がとても上手だ。活字印刷なのか、右筆みたいな人が書いたのか、本人の自筆か？もし本人の自筆なら、すごいことだ。実物を見てみたい。2011年2月15日 古本フェス．2011 2011/02/25
AppleSugar
0
TBD2008/12/25
