中公新書<br> セミの自然誌―鳴き声に聞く種分化のドラマ

中公新書
セミの自然誌―鳴き声に聞く種分化のドラマ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 179p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121009791
  • NDC分類 486.5
  • Cコード C1245

内容説明

北から南から、日本に飛来して棲息するセミ32種。世界有数の豊富さである。風土に適応して巧みに棲み分け、短歌、俳句、川柳から絵画、そして夏休みの宿題と古くから親しまれてきた。食用、薬用に利用される反面、害虫としての側面ももち、近年は環境指標として重要な役割を果している。本書は周期ゼミの発生、芭蕉の句のセミをめぐる論争等を紹介しながら、セミの生活史をたどり、鳴き声の意味を探って種の分化と進化の謎に迫る。

目次

1 セミと人生
2 セミの紳士録(日本のセミ;北のセミ、南のセミ)
3 セミの鳴き声(セミはなぜ鳴くか;セミの鳴く時刻;セミの鳴く季節;鳴き声の方言と種の分化;鳴き声の干渉)
4 セミの生活(発生量の変化;セミの一生;セミの天敵)
5 セミと環境(環境変化とセミ;害虫としてのセミ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

57
博物誌の本は好きだ。夏の季節感をいろどる、ありふれた昆虫であるセミも、生活や繁殖の実態を知るためには、なかなか大変な研究が必要らしい。幼虫として地中ですごす期間を調べるために、専用の実験設備で年数をかけて研究した先人の努力には頭が下がる。鳴き声の意義・目的や個体間・種間でお互いに及ぼす影響など、実際にフィールドワークしないとわからないことがらも多いだろう。北米の周期ゼミ、種類ごとのセミの名前の方言(国語学ではひょっとして扱わなかったかも)、芭蕉の「しずけさや」の句のセミは何か、などの話題も興味深い。2020/05/04

魚京童!

13
セミ。最初の一匹が音を出したときから軍拡戦争が始まって、今まさに真っ最中だよね。戻るに戻れない。大きな声を轟かしたものが強かった。音色の方向にはいかなかった。大きさだけを競い合ってきた。とてつもなく、邪魔で、抹殺されてるのにしぶとい。音の記録がないから、「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」の音と今の音が同じかもわからないよね。言葉にすれば、見える。でも私の音は私だけの音。いつかの音、誰かの音、どこかの音。全部違う。なんなんだろうね。2024/04/21

さきん

5
夏に聴くうるさいセミどもも冷静になって観察するとさまざまな習性の違いが見えてくる。環境汚染と環境指標としてのセミの話や南方にいる決まった時間に分も違えず鳴くセミなどセミの魅力が伝わってくる2015/07/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1815599
  • ご注意事項