出版社内容情報
叙情こそは万葉以来の生命のリズムであり、魂の躍動を促す力である。いま我々の心は渇いていないか。叙情の復権を説く力作論考。
内容説明
いま、叙情が危ない。われわれのこころの世界が乾き上がり、砂漠化しているのではないか。叙情を受け容れる器が損傷し、水漏れをおこしているからではないか。叙情とは、万葉以来の生命のリズムのことだ。魂の躍動をうながし、日常の言葉を詩の形に結晶させる泉のことだ。それが枯渇し危機に瀕しているのは、時代が平板な散文世界に埋没してしまっているからである。歌の調べが衰弱し、その固有のリズムを喪失しているからだ。いまこそ、「歌」の精神を取り戻すときではないか。
目次
空を飛ばなくなった歌―美空ひばりと尾崎豊
「短歌的抒情」の否定と救済―小野十三郎と折口信夫
『サラダ記念日』の衝撃―斎藤美奈子と富岡多惠子
浪花節と演歌―朝倉喬司と春野百合子
『平家物語』の無常観―小林秀雄、唐木順三、石母田正
吉川英治と『平家物語』
挽歌の伝統と「北の螢」―古賀政男と阿久悠
西行と啄木のざわめく魂
道元と白楽天
親鸞の「和讃」
親鸞和讃と今様歌謡
瞽女唄と盲僧琵琶―小林ハルと永田法順
西條八十と北原白秋―日本的叙情
著者等紹介
山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年生まれ。東北大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。国立歴史民俗博物館教授、京都造形芸術大学大学院長、国際日本文化研究センター所長などを歴任。専攻は宗教学・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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miyuki