感想・レビュー
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印度 洋一郎
3
著者がモロッコを旅行した紀行文と、フェニキア人の移民に始まる古代から1980年代までのモロッコ史の概説とで交互に構成されている。モロッコには、ベルベル人という先住民族を中心に聖者崇拝(マラビーイズム)の色彩の濃いイスラム教が定着し、各地の聖者廟が信仰の対象になっている。本来、人を崇拝してはいけない(最大のタブーである多神教、偶像崇拝に通じる)はずのイスラムで、ベルベル人の英雄待望志向が影響しているらしい。後ウマイヤ朝以後に色々と勃興したベルベル人を基盤にする王朝も、始まりは聖者だったりする。 2022/06/06