Crest books<br> アムステルダム

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Crest books
アムステルダム

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  • サイズ B6判/ページ数 198p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900090
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

ひとりの魅惑的な女性が死んだ。選ばれた男たちとの遍歴を重ねた途上で。元恋人の三人が葬儀に参列する。イギリスを代表する作曲家、辣腕の新聞編集長、強面の外務大臣。そして、生前の彼女が交際の最中に戯れに撮った一枚の写真が露見する。写真はやがて火種となり、彼らを奇妙な三角関係に追い込んでゆく。才能と出世と女に恵まれた者は、やがて身を滅ぼす、のか。98年度ブッカー賞受賞作品。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

153
1998年ブッカー賞受賞。 モリー・レインを巡る かつての恋人たち 三人の物語である。 モリーの死後、残された男たちの心情を 哀切に語る。モリーはもういないという 喪失感が全編に漂う。社会的に 成功したと 見られる老人たちの日常が 虚しく 思われるのは 著者の意図通りなのだろうか? 最後は 儚さだけを感じる、そんなお話だった。2019/06/15

どんぐり

73
マキューアン5冊目。認知症でひどい死に方をしたモリーの葬儀に訪れた作曲家のクライヴ・リンリーと新聞社の編集長ヴァーノン・ハリディ。二人は友人で、かつてモリーの恋人だった時期があり、彼女の最期に想いを馳せて、「判断に間違いが出たり、ものの名前も自分が誰かも思い出せないようになったら、それを終わらせてくれる人間」として人生の幕引きをする約束をする。岩山で作曲に集中してレイプ魔の強姦現場を黙認するクライヴ、モリーと親密な関係にあった外務大臣のゴシップ記事を掲載し解雇されるヴァーノン。互いにその行いを罵り合うなか2017/01/13

けろりん

55
一応の成功と、社会的地位を掴んだ、二人の男。若き日の、頭でっかちで、向こう見ずで、野心に満ちていた、あの頃の輝きは、モリーという奔放で魅力的な女性と共に灰となった。二十世紀の終焉、五十代となった彼等は、記念碑的な仕事をする事で、自身の来し方を肯定する術を模索しているかのようだ。スノッブに堕しきれず、義務だとか倫理だとか、青臭い尻尾を未だぶら下げたまま。急速に傾斜角を増す老いの坂で必死に踏み留まろうと足掻く男たちの『アムステルダム』への道行き。乾いた優美さを感じさせる、硬質な訳文が、世界観によく合っていた。2021/04/14

キムチ27

55
久々のマキューアン。いつもそうだけど、国内本を読んで翻訳へ行くとリズムに翻弄され、暫し彷徨。マキューアン独特の文体も確実に振り回してくれた。作ったメモの数と読了後の感想の落差に笑う。更に巻末の訳者の謎ときで霧が晴れた。アムステルダムが・オランダが「行き過ぎた合理性」持つこと意味が・葬儀で始まり葬儀で終わるシニカルな寓話性。奔放な女性に踊らされた男どもの薄汚れた面がプッシュされる。しかし、世の中ってそんなもんじゃない?。クライブもヴァ―ノンも没個性でどっちがどっちでも同じ。何度も「モリ―の墓穴に糞をたれる」2020/07/26

ヘラジカ

43
来月のマキューアン新作(タイトルは知らない)刊行記念と 『現代イギリス小説の今』予習として読了。この作品が賛否両論なのはお気に入りさんの感想だけでも一目瞭然。中には駄作と評する向きもあるみたいだけれど、私としてはそこまで批判しようとも称賛しようとも思わない。曖昧な言い方に逃げると、毒にも薬にもならない作品。テンポよく一気に読んだが、面白い昼ドラ的小説という以上に心に残る作品ではないかなと。「ブッカー賞受賞」の肩書きがこの小説を必要以上に厳しい評価に晒してるのでは?と思わないでもない。2018/04/03

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