出版社内容情報
一読三嘆、芝居の魅力。お客を乗せて、過去と現在、天国と地獄、生死の境、摩訶不思議の世界、はては宇宙の果てにまで連れてゆく力。それが芝居なのだ。
シェイクスピアの全作品37編を織りこんだ快作「天保十二年のシェイクスピア」。人違いから本人になりすました男が天国と地獄を巡る傑作「雨」。漂泊の説経聖と三味線弾きの女が語り明かす近親相姦絵巻物「日の浦姫物語」のほかに、底ぬけに面白い笑いの見本市的作品5編を収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シマヨウコ
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「天保十二年のシェイクスピア」を読了言葉のシャワーを全身に浴びるのは気持ちいい。人間の濁を強調して清をあぶり出す。でも、人は清濁どちらかではなくどちらも持っていて、往き来したり併せ持ったりしている。それを再認識しました。最近は濁を隠したり見せないようにする傾向が強すぎるが、清しか見せないと濁りがわからなくなるのではないか。とも思った。2014/03/28
na
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「雨」結局、騙されたのは、地方か中央か…?!2011/03/07
lionne
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「天保十二年のシェイクスピア」読了。数十年ぶりの井上ひさし。いかにも井上作品らしい地口、駄洒落の連発で音(台詞)だけで意味がわかるのか心配になる。加えて初演の役者や、劇場についても当て書きの部分が多く、上演のためには手を入れなくてはならない。どのように手入れを施されるのかとても楽しみ。そういえば歌舞伎役者がシェイクスピアを上演するほど流行っていた時代があった。その時代に見たリチャード三世(当時の推し)が換骨奪胎した佐渡の三世次に姿を替えて現れるとは、感慨深い。2019/12/13