内容説明
1919年5月7日、エビータはアルゼンチンの片田舎に私生児として生れた。貧困からはいあがり、女優となった彼女は、’44年、クーデターの末大統領となるペロン大佐と結婚。独裁政権を支えるファーストレディは癌のため33歳の若さで急逝した。大衆を魅了し、美貌と野心で夢を実現したエビータ。そのスキャンダラスな生涯を豊富な実証をもとに余すところなく明かすノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
36
7月にエビータのミュージカルを観る予定なので、そのための予習をと思い読んでみました。アルゼンチンという国、そしてエビータの波乱にとんだ生涯を、しっかりと地に足をつけて描いているという印象を受けました。エビータの生涯がミュージカルではどんな風に演出されるのかが今から楽しみです。2018/05/12
ジュンジュン
5
マドンナ主演の映画に合わせて復刻された本書。アルゼンチンの戦中戦後の好景気(ヨーロッパに牛肉と小麦を輸出)のもと、富の再分配で労働者と女性を味方に付けたエビータ。私生児、女優、愛人からファーストレディへ上り詰める。景気後退で政情不安になる前、絶頂期に33歳の若さで死去、伝説となる。棺の変遷もそのまま現代アルゼンチン史を表しているようでドラマチック。2020/05/03
wei xian tiang
2
夫の神格化に弁舌を振るい、自分を取るに足らない第一のしもべと卑下するところ、メディアと文化部門を支配して権力維持に活用するところは江青に似ていなくもないが、江青が只管権力欲と演劇界への復讐心から文化の破壊と知識人の迫害に狂奔していただけの怨念人なのに対し、エバ・ペロンの生涯は無産層のエンパワーメント、婦人参政権導入など、信念ある政治行動に見るべきものがある。2018/09/17
Edo Valens
2
「文庫で読めるエビータの生涯」、という風な感じ。翻訳もこなれているし(だって訳者は牛島信明ですよ。さらに、解説は旦敬介さん。オールスターであります)、各エピソードを絶妙に挿入していくバーンズの手腕も素晴らしい。ただ、書かれた時代を反映してなのか、アルゼンチンという国をどこか遠くの幻想的な土地であるかのように書いているのをはじめ、全編を通じて、著者の個人的な視点が少し強い気もするので、本当にエビータについて知りたいなら別の書籍にもあたってみるべき。とはいえ、エビータの人生を知るための入門としては素晴らしい。2017/07/06
Mariamaniatica
2
中立の立場で書かれており、面白い。今度は熱狂的なエバ派と、その反対派のように極端な立場違いのものを読んでみたい。2014/10/27