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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
208
この2作を読むと、シェイクスピアにおける喜劇とは何だろうかと思う。ことに、「あらし」がそうだ。喜劇の定義がよくわからないが、どうも悲劇でないものとしか言いようがないようにも思えるのだ。さて、篇中前半の「夏の夜の夢」は、戯曲として読むよりは、舞台で見る作品だ。ここでは、3つの世界が劇を構成するが、何といっても妖精の世界をいかに見せるかに演出の妙があるように思う。人間技を超えた軽やかさが求められるだろう。一方の「あらし」は、なんだか悲痛ささえ漂う。エピローグは、あたかもシェイクスピアの辞世の言葉のように響く。2014/01/10
ケイ
140
マーガレット・アトウッド氏の『テンペスト』からのオマージュ的作品を読んだが、肝心の元ネタのシェイクスピアの原作は読んでいなかったので、今回は『テンペスト』のみ読了。内容はある程度はアトウッド作品から分かっていたものの、やはりエピローグでひどく感動した。シェイクスピアの中でこの作品を選んだアトウッド氏の慧眼にも、その取り入れ方には、もう、あきれるほど。訳者の解説にもあるし、なんとか原文で読みたい。アトウッド作品にもたくさん盛り込まれていた詩もそこから味わいかもっと深くなると思うから。2020/09/21
紅はこべ
136
基本的に男性の為の劇で、女性は引き立て役ののシェイクスピア劇で(女優がいない時代だから)、珍しく女性の存在感が強い「夏の夜の夢」。『チョコレートコスモス』『サークルゲーム』でオーディションの演目になってますね。ハーミアとヘレナのキャットファイトが面白い。ハーミアは小柄のブルネットで、ヘレナは長身のブロンド。本来ならヘレナの方がモテキャラ。タイターニアは驢馬に恋していた方が幸せだったかも。オーベロンって小児性愛者のモラハラっぽいもの。 2017/07/02
ケイ
135
読書会のために再読。アトウッドのrewrite「Hag-weed」を改めて読んでから再び。結局変わらぬ人生の真理の1つがどの作品にも描かれているのかも。嫉妬や恨みは、人を破滅に導く。ハムレットでもリア王でもマクベスでも。だから、アトウッドが「Hag-weed」で引用していたフランシス・ベーコンの言葉のように、復讐を忘れないことは傷を生傷のままでいることだから、許せすことが自らの救いになるのだと、喜劇となる結びで教えてくれているのだと思う。シェイクスピアは永遠だな。2020/11/04
ケイ
121
来夏を待てずに読んでしまった。途中から苛立たしさがつのる。しかし、最初の方に、ヘレナに「恋すれば誰も目でみない。心で見る。だから、翼を持ったキューピッドは、いつも盲目に描かれている。それにあの恋の神様には分別はない…恋の神様が子供だと言われるのもそのせい。だって、始終、面倒違いな見立てばかり」と言わせていた。だから、シェイクスピアは、読者が怒ることも織り込み済み。ゆえにあの幕切れとなる。やられた。すべては一夜の夢。それも浮かれた暑い夏の。思えばトロイヤ戦争も…。まて、逃がさぬぞ、キューピッド💘2020/09/25