新潮文庫<br> 宵待草夜情(よいまちぐさよじょう)

新潮文庫
宵待草夜情(よいまちぐさよじょう)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 306p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101405032
  • NDC分類 913.6

内容説明

胸を病み、ある事情から絵筆を捨てた絵描きの「私」は、結核で夫を亡くした寂しげな影をもつカフェの女給鈴子とめぐり会う。「私」は鈴子と親しくなるが、彼女にはなにか秘密があるらしい。「血は悲しい色」と言う鈴子。その秘密を握る女給の照代が殺された…。愛の輝きと生の憂愁を綴る表題作をはじめ、5人の女たちの姿を通して、計り知れない愛と憎しみの謎に迫る叙情にみちた5編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

39
恋愛小説だと思って読み始めると、肩すかしをくらうかも。ミステリー仕立てに、女性の純愛をからめた感じ。そしてそのミステリーがなかなか上等ときてる。主人公の女性たちがどれも愛おしい。時代がかった内容も、読みにくさは感じませんでした。2014/03/24

青豆

11
明治から昭和を舞台に女の情念を描きだした短編集。ミステリー小説なのだが恋愛小説を読んでいると錯覚してしまうほど、男女の機微が巧みに描かれている。表題作のヒロインが守り通したかった秘密、義理の姉の夫への復讐、能楽師として息子を厳しく指導する母親、人形になりきる女優など様々な女性登場するが、女というものをこんなに美しく恐ろしく愚かに描き出した連城三紀彦は素晴らしい作家である。亡くなってしまったのが本当に残念で悲しい。2014/11/09

James Hayashi

8
連城三紀彦らしい恋愛もどきのミステリー。ちと読みづらいがなかなか凝った作品で読み応えがある。短編集だが読み終えて疲れを感じた。それ程の内容。前作ではバイセクシュアルがあり、今回はSMっぽいものもあった。この著書、オールラウンダーなのか?2014/04/17

浅木原

7
この本の凄みを語るにはあまりに字数が足りない。5編全て傑作だが、特に「花虐の賦」は全連城短編の最高傑作の座を争う唖然呆然の超傑作。どうしてこんなことを思いつくのか。そしてそれを完璧に短編小説として書ききってしまうのか。もはや狂気の沙汰。驚愕の死体の解体理由「能師の妻」、刃のごとき戦慄の反転「野辺の露」、無理筋の真相を鮮やかに描ききる表題作、これだけの反転を短編で書ききる筆に笑うしかない「未完の盛装」。全てが連城三紀彦という天才にしか到達し得ないミステリの至芸。読者はその才に恐れおののく他ない。参りました。2014/09/25

tsukamg

5
短編集。五作収録。有名な「花虐の賦」は見事な構成のミステリー作品だった。他の短編も面白かった。大正から昭和が舞台となっており、風俗が大変丁寧に描かれている。うまいなあと思った。しかし、気になったのはそこではなく、どの話も精神的あるいは肉体的に相手を束縛する欲望が愛憎の源となり、物語を形作っているということだった。2021/07/16

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