新潮文庫<br> 縦糸横糸

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新潮文庫
縦糸横糸

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  • サイズ 文庫判/ページ数 342p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101252278
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

酒鬼薔薇聖斗、和歌山カレー事件、オウム真理教、新潟少女監禁事件、自殺者の増加、引きこもり―日本人の生活は豊かに、快適になったが、“心”はその変化に対応できず、多くの問題が生じてしまった。効率を追い、結論のみを急ぐ現代社会は、育児や教育には不向きだ。欲望を満たしても幸せにはなれない。ではどうすればいいのか。“心”の専門家から、困難な時代を生きる私たちへの提言。

目次

バブル化した教育―知識偏重では崩壊を招く
オヤジ狩りとオヤジ探し―新しい強さを創造しなければ
異なる性を生きること―自然に反して幸福を得る自由
完全信仰が生む不完全―O157に対する「不安」とは
「葬儀文化」を見つめるとき―なぜ「寅さん」は死を隠したのか
「いじめの根絶」論を省みる―子どもと楽しく過ごすことこそ
自殺予告という「表現」―関係を断った場所からのメッセージ
汚職を防ぐ「制度」―倫理よりも「ほんね」前提に
「二者択一」からの脱却―大使公邸占拠事件のペルーに学ぶ
日本的民主主義の「責任感」―反面教師としての小松市長〔ほか〕

著者等紹介

河合隼雄[カワイハヤオ]
1928(昭和3)年、兵庫県生れ。京大理学部卒。京大名誉教授。文化庁長官。日本のユング派心理学の第一人者であり、臨床心理学者。文化功労者。独自の視点から日本の文化や社会、日本人の精神構造を考察し続け、物語世界にも造詣が深い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

22
新聞の連載コラムということで、ひとつひとつのトピックが程よく短く、読みやすい。「当事者感覚」の極端な希薄さ、「もんじゅ」の事故についての「日本的体制の曲がり角」という記事が投げかける問題は、今現在の日本がまさに直面している課題だろう。非常に鋭く、大切な一冊となりそうだ。2013/06/01

蓮華

11
事件や出来事について著者の思いを綴ったコラムをまとめた本。 数年前の出来事で忘れかけてたこともあった。 残忍な出来事でも時と共に風化していっていることを思い知らされる。 著者のカウンセラーとしての視点はとても優しく力強い。 おもしろい本でした。2018/12/25

roughfractus02

10
バブル崩壊からグローバル化へ進む20世紀末から21世紀初頭に産経新聞に掲載された時評を集めた本書は、悲惨な事件の周りに群がり、答えを安易に出して情報消費する社会をメディアの事件の取り上げ方や知識偏重の「教育」を取り上げる。この傾向はIT化とリンクして強化される点も実感する著者は、事件を解決すべき問題としてでなく徴候として捉え、答えが出てもさらに次の問いに向かう継続的思考力の必要を訴える。情報技術が科学を因果に還元する時代に、縦糸を人生に横糸を時代に例える著者は、相関的世界の織物の結び目として自らを捉える。2023/03/07

ceskepivo

3
鋭い指摘あり。「スローガンは短絡的な思考から生まれやすい。」「大切なことは結論を出すのを焦ってはいけない。」2018/12/28

honda

3
アメリカから仕入れた個人主義。 それはアメリカの中のルールの中であるからこそ成り立つもの。 家族の機能の低下。 世の中の問題って色々あるけれど、やっぱりそれを本当にそれでいいのかって一個一個考えていくのが大事だよね。2016/12/30

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