内容説明
週に何度となく出かけた街・銀座。少年のころから通いなれたあの店、この店。そこで出会った味と映画と人びとは、著者の旺盛な創作力の源であった。「銀座日記」は、街での出来事を芯にした、ごく簡潔な記述のなかに、作家の日常とそこから導かれる死生観を巧みに浮き彫りにして大好評であった。急逝の2カ月前まで、8年にわたった連載の全てを1冊に収めた文庫オリジナル版。
目次
池波正太郎の銀座日記(カンペールのクッキー;夕暮れの築地あたり;痛風で銀座遠し;思い出のトロワグロ ほか)
池波正太郎の新銀座日記(久しぶりの試写通い;菊池寛賞の授賞式;出さなかった年賀状;冬ごもり ほか)
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923‐1990。東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
132
剣客商売の番外編を残していますが、池波さんのエッセイ集を読んでいこうと思っています。これは1983年頃から8年間にわたって、「銀座百選」に連載されたものを、文庫本2冊で出ていたものを、1冊にして再出版されたものですでに読んでいるのですが、久しぶりに読んで楽しめました。銀座界隈での買い物や食事あるいは試写会などについての様子が情景が浮かぶような感じで書かれています。とくに食べ物については読んでいても食べたくなります。2017/09/19
ゴンゾウ@新潮部
102
銀座の街をこよなく愛した池波正太郎さんのエッセイ。大好きな映画のこと、通い詰めた名店の数々、そして仕事のことが日々の生活の中で描かれている。粋でダンディな一面が節々にうかがえる。一方で老いを意識し始めた池波さんがとてもつらかった。2018/06/16
もんらっしぇ
75
実は「池波正太郎が通った〔店〕」という書籍https://bookmeter.com/books/18870096 があって私もそれを参考にして先生ゆかりのお店巡りを楽しんでいるのですが…ほんと馬鹿な話ですけどふと気が付きました。そうだ池波さんの日記を読めばいいじゃん♪って(-_-;)本書は先生がその死の間際まで書いていた銀座商店街の小冊子「銀座百点」に連載されたものをまとめたものですが端的にいえば先生がどんな映画を見て、どんなお酒を飲み、どんな食事をしたかが書かれた「一人の作家の日記」にしていわば絶筆。2023/01/24
ちゃとら
60
1983年7月から「銀座百点」に連載された。日記形式で食事と映画と本の話で埋め尽くされている。(死ぬために食うのだから念を入れなくてはならないのである)とんかつ、鰻、寿司、洋食、蕎麦。蕎麦は必ず天ぷら蕎麦にせいろ一枚👀心配になるようなオンパレードでやはり痛風に苦しまれた日も。変わっていく銀座のレストランの話も映画の話も楽しかった。自然な老いを教えてもらえた気がする本でした。2023/10/02
saga
55
1983年から90年にかけての日記。他著の解説で『銀座日記』が紹介されていたことから、読みたかった一冊。日付が全て×月×日と表記されているのはどういうことか? 日付を探る手掛かりが著名人の死亡を書いた日記というのが悲しい。そして、著者の最晩年の日記という面もあり、だんだんに弱っていく姿を読むのは辛かった。生活の中に銀座(発祥の地)がある贅沢。山の上ホテルに缶詰めの時に味わう天ぷら。デパートの中の鰻屋、などなど美味しそうな料理は、まさに垂涎の的だ。2023/07/10