新潮文庫<br> 霰

新潮文庫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101141169
  • NDC分類 913.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

109
地味で暗くて、全く救いのない小説。それでも抒情的な暗さに惹かれて一気に読んだ。妾の子として生まれた富吉が主人公。富吉は下駄職人として生きていくことを選ぶが、彼のもとに幸せは訪れない。唯一の救いは義母りんの優しさのみで、彼女との心の交流がこの小説に唯一華やかな色を添えている。富吉は自分の店を持つことを切望するが、それはかなわず旅の職人のして生計を立てる。地面が自分の店だという彼の言葉が深く心に響いた。そんな風にして生きて死んでいった人々が、昔は大勢いたのだろう。名もなき庶民達の生活が心に刻まれる小説だ。2017/12/12

アメヲトコ

5
若狭本郷で暮らす後家と、亡夫の妾の子である下駄職人との物語。幸せに近付きそうでするりと離れていくあたりはいかにも水上調ですが、滅びゆくものに注がれる著者の視線はあくまでも温かい気がします。2017/11/19

tomoko

4
泣ける。

marukuso

3
妾の子として生まれた富吉と千太。父の危篤をきっかけに本妻りんの家に行くことに。そこから下駄職人として奉公に行くも、守銭奴の主にめぐまれず、妻を娶るも、醜女に嫌気をおこし、また再婚するも裏切られる。弟も死に天涯孤独の身となった富吉の人生は苦労しかない。そんなあわれな姿を見るりんは富吉のことを気にかけ、お互いが惹かれあうもままならない。富吉の最期はあばら家で霰の音をきき事切れる。救いがないがそれが逆に本当にあった人の人生を感じさせる。2017/02/04

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